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日が傾いて暗くなるまで、愛し合った二人。
今はただ優しく抱き合い、時々言葉を交わしていた。
互いを思いやる、柔らかな言の葉を紡いだ。
「あ、もうこんな時間。夕食の準備、しなきゃ」
「比呂くん、たまには外食しようか」
「いいの?」
「少しは休んでよ。有能なハウスキーパー様」
ごろん、と寝返りを打って、隼人は比呂に訊ねた。
「何が食べたい? 何でも、いいよ」
「うん。じゃあ、お寿司が食べたいな」
「いいよ。私が知ってる、一番おいしいお寿司屋さんに、連れて行ってあげる」
ゆっくりと起き上がり、再び二人でシャワーを使った。
「また、ムラムラしないでよね」
「今はしないけど。お寿司食べたら、また……」
「もうダメ! 僕、壊れちゃう!」
「冗談だよ」
それから身なりを整え、隼人の車で寿司店へ向かった。
美味しい美味しいと、いくらでも寿司を頬張る比呂だ。
その様子が、隼人には無性に愛らしく映る。
(何をやっても、比呂くんは素敵だな)
私と共に生き、そして命を終える覚悟をしてくれた、愛しい存在。
隼人が、比呂を生涯のパートナーに決めた、そんな一日だった。
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