224 / 229
4
隼人と比呂の前に、ぞろぞろと出てきた、人たち。
年齢、性別、体格も、バラエティに富んでいる。
「彼らは、スタジオ青原の主要メンバーだ。みんな、信頼できる素晴らしい仲間たちなんだ」
青原の紹介に、スタッフは口々に挨拶を始めた。
「桐生さん。共に映画を創れることを、光栄に思います」
「君が、比呂くんか。初めまして、よろしくね」
「青原はこだわりが強いが、付き合ってやってくれ」
「観た人の胸を打つ、良いものを撮りましょう!」
好意的な言葉に、隼人も比呂も嬉しくなった。
この人たちとなら、気持ちよく仕事ができる。
そんな予感を覚えていると、青原が突然に比呂の正体を彼らに明かした。
「比呂くんは、ネコのあやかしだ。これまで、猫神修行をしていた」
「ちょ、青原さん!?」
「青原さん! その話は、いけません!」
しかしスタッフたちは、まるで動じない。
うんうんとうなずきながら、青原の話を真面目に聞いているのだ。
「だが彼は、桐生さんを深く愛している。今の命を最後に、あやかしを辞めるそうだ」
大勢の視線を感じて、隼人も比呂も困ってしまった。
何と言って、ごまかしたらいいだろうか。
ともだちにシェアしよう!

