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第四十六章 時の舟には二人で乗ろう

 隼人が主演を務めた青原の映画は、最終興行収入300億を超える、大ヒット作となった。  劇場に足を運んだ人間は、2000万人以上に至る。  国際映画祭にノミネートされ、最高賞を受賞すると、国内だけでなく世界中の人々に注目された。 『あなたの隣のそのヒトも、あやかしなのかもしれません』  こんなキャッチコピーが付いた、青原の最新作。  人生に疲れ果てた青年が、猫神を目指すネコのあやかし少年と、タイムトラベルをする。  そこで出会った人々とのバトルや交流を通して、彼は心の潤いを取り戻し、成長を遂げていく。  青原監督には珍しく、エンタメ性の高い作品だ。  高齢の人間は、遡った時代にノスタルジーを感じた。  若い世代の人間は、アクションや恋愛要素を楽しんだ。   『青原監督の映画なら、まず安心して観られるからね』 『主演の、桐生 隼人が好きなんです!』  封切り直後は、そんな固定ファンが多い観客層だったが、次第に新規の顧客も増えていった。 『青原監督の過去作も、配信で観ちゃったよ』 『桐生 隼人って、カッコいいだけの俳優さんじゃなかったんですね!』  噂が噂を呼び、話題が話題を呼ぶ。  映画は1年のロングラン興行になり、全国のシネマ劇場が活気づいた。  青原の作品は、隼人の主演は、大成功を収めたのだ。

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