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第10話

 下半身が切なさを増すにつれ、頭の中がぼうっとして心地よくなってきた。シャツの裾をまくって胸を出す。右手でちんこを揉み続けながら、左手で乳首をカリカリと引っ掻き始めた。すぐにぷくっと硬くなったそこを、ぎゅっと潰すように摘んで、もっと強く爪を立てていく。 「ン、ぅん……」  胸の頂点が左右どちらもパンパンに腫れあがっても、俺はイジめる手を止めない。毎晩のことなので、元々ぽってりと丸かった乳首がもっと丸く大きくなって、ぴったりめのシャツは膨らみが目立って着れなくなってしまった。 「ん…………」  いい感じに、快感に溺れ始めているのを感じながら、右手でスウェットパンツをずり下げた。ウエストゴムの奥を弾くようにして、ちんこが飛び出した。  乳首をいじっている間に下着をけっこう濡らしていた。終わったあとそのまま寝たかったのに……。着替えの手間にがっかりしつつ、一旦忘れることにする。膝の下まで脱ぐと、陰茎を手のひらに包んでぎゅっと握って圧を加えた。 「ぁあっ……んっ、」  なんか、今日は特に敏感だ。漏れ出た声の大きさに自分で驚く。  俺が暮らしているのは、都内によくあるタイプのワンルームマンションで、見栄えは良いが壁が薄い。隣の部屋からくしゃみなんかがたまに聞こえてくる。  一人エッチ中の喘ぎ声なんか決して響かせるわけには行かない。口をしっかり閉じて再開しする。でもやっぱりこらえきれなくて、押し付けた枕の中で何度も声を上げた。 「っ、ン……ン…、ァ………んッ」  軽く擦ってるだけなのにぃ。やっぱ、毎晩やりすぎてるのかな……。  今までは、自慰ってなんとなくだけど後ろめたくて、そんなにする方じゃなかった。なのに落ち込んだ気分が盛り上がるからと、やりだしてからは止められなくなって、一気に感度が上がった。  気持ち良すぎるのも最後がヘトヘトになるから嬉しくなかったんだけど、なぜか今日はそんな考えもトぶくらい最高にイイ! 上下にしごく手を速めながら、左手を胸から降ろし、先端から溢れてくる先走りを亀頭に塗りつけ撫でまわす。 「あっ、ンン、んぅ………」  ベッドがきしんでる。身体を駆け巡る快感。お尻の奥までキュンキュン疼いて、じっとしていられない。  身体にかけていたタオルケットが床にずり落ちていったが、俺は構わず、ちんこを上下に擦る動きに合わせて、誰もいない天井に向けて突き上げたお尻を上下に振った。まるで誰かに挿入されているみたいに。  今まで一人も彼氏ができなくて、出会い系も怖くて利用したことのない俺は、男性とのセックスにものすごく憧れている。一度で良いからイケメンに抱かれてみたい。  俺が理想とする初Hは、俺が女の子みたいに優しく扱われる。イケメンは俺をお姫様抱っこでベッドへ運び、恥じらう俺を優しくなだめながら服を脱がせる。一糸まとわぬ姿となったあとは甘い口づけと愛撫で俺の緊張がとけるまで待ってくれる。お互いがお互いを求める気持ちが最大まで高まった時、イケメンのたくましい体に俺の全身が包みこまれ、体内に熱い精液を注がれるんだ。  でもこれはただの夢で、現実が違っていても構わない。俺がイケメンに抱かれて処女を卒業できるなら、なんでも相手に合わせる。 「ン………、」  その瞬間を切望して痙攣しているソコに自分の濡れた中指を合わせた。ピッタリ締まっているようで、実際はとても柔らかくなっていて、少し指先をいれると積極的に引き込んでくる。それでいて中はキツキツに狭いから、気をつけてないとすぐに突き指する。  膝を曲げた状態の下半身と後ろに回した右手の位置を少しずつ調整しながら、指に力を込め、狭い内壁の奥へと押し込んでいく。 「んっ、んん」  なんとか八割ほど収まった。緩くかき回してじっくり馴染ませたら一度抜いて、すぐにまた挿入する。二度目からは簡単に入るから、指を何度も出し入れしてピストンの感触を味わった。さっきと同じように前を擦りながら腰を振り、枕の中で子犬のようにアンっアンっと鳴く。  ……あぁ……。やっぱ今日、すげーイイ……。早く寝なきゃいけないのに止めらんねー……。  いつもなら、ここでさっさと出して終わりにしてるけど、ちょっとだけ延長することにした。指を二本にするのってかなりキツいんだけど、最高に調子がいい今なら、初めて気持ち良くなれるかもしれない。  丸めていた背筋と腕を伸ばして、引き出しからカプセル型のローションを取り出した。初心者ネコの掲示板で話題になってた新商品で、お尻の中に入れると溶けて滑りを良くしてくれる。小さいので携帯に便利! これならいつでもスムーズに挿入できちゃう!……らしい。メール便で届いてさっきポストから回収したばかりだから、使うのは初めて。 「ん……」  お尻を高くして挿入れるとすぐに溶けた。アロマ成分配合とかでほんのりと温かくて想像以上にいい感じ。でも、ちょっと量が多いかな。揃えた中指と人差し指の二本を入れ始めるとローションがお尻から漏れ出し、足を伝い落ちてシーツに染みが出来てしまった。極力汚さないようにさらにお尻を高く上げてみるも、どんどん流れてきてどうしようもない。 「ウ……、……っぐ、………はぁっ、うっ」  今日こそはって思ったんだけどな……。  残念ながら指が埋まった奥は、いつものように痛みを伴ってひきつるだけで、揺らそうが擦ろうが全く気持ち良くならない。それに、挿入中に出てきたローションでびっしょり濡れた下半身が気持ち悪い。  でも我慢するしかない。いつかイケメンにちんこを挿入れてもらうには、そのスペースが必要だ。意を決して、狭い中を押し広げるように指先を開いた。 「うう………、オェ~~………」  やばい、気分まで悪くなってきた。  俺の細い指二本でこれじゃ本番なんかそうとう痛いんだろうな。もしかしたらイケメンの目の前でゲロって、フラれたりして……。  あまりの悲劇にふぇぇと泣くつもりが、オエ゛エ゛とえづく。こんな俺を抱いてくれる人がいるわけない。  でも俺本体はヤバくとも、お尻の中は我ながら相当良い感じなんだ。  ローションでぬかるんだ中はとっても温かくて、挿入ってる俺の指をギュっと締め上げている。どんなイケメンだって、ココに挿入さえしてしまえば、勢いよく腰を振るハズ……。  でもちょっとキツキツすぎるかな? 挿入するアソコが大きいサイズだったら相手を痛がらせてしまったり最悪だと挿入んないかも……。  婚活で、次の休みに会う約束をしている人がいる。イニシャルでA.Sさんという人で、プロフィールによると身長184センチ。長身の誘のさらに3センチも高い。趣味はゴルフと水泳で、全身写真でスーツの上からでもがっちりした体つきなのが分かった。それに腰に当てた手が大きくて指も長かったから、絶対アソコも大っきいに決まってる……。

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