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第10話

「え、今、なんて言うたん?」 「創造世界の消失と言ったんだよ。韓国語で」 「なんで、韓国語で言うとんねん」 「呪文は、外国語で言った方がかっこいいっていう風潮、人間界にはあるでしょ」 「……まあ、否定はせえへんけど、そのタイプの呪文をあえて韓国語で唱えたんは多分史上初ちゃうか」 「さて、じゃあ、始めようか。君、僕とエロティックな事したかったんでしょ?」 「……ま、まあ、それが求められてることやし……」 「じゃあ、この野菜なんてどう?」 「え、い、いきなり野菜から?」 「大丈夫、油で君も野菜もヌルヌルしてるし」 「そういう問題ちゃうって! ちょ、待って待って待っ……ッぅう……!」 「ほら、入った。君、できるだけ、声を殺してごらん」 「え……なん……でッ……ぐぅッ」 「…………なあ、なんか変ちゃう?」 「なにが? 全ていつも通りじゃないか」 「いや、絶対変やって! なんかこのページ……セリフしかないやん!」 「ふっ、ようやく君も気付いたかい」 「まさか、さっきの呪文……」 「そう、描写……つまり『地の文』を消させてもらったのさ! どんなに君がエロい格好をしていようと、描写をしなければどうという事はない!」 「なんやと! 僕がこんなにもエロい格好をしているというのにか!」 「読者には君が何をしているのかさっぱりさ!」 「……クソ、普段から会話文ばっかりの小説やったから、気付くんが遅れてもうた……」 「突然、空白をめっちゃ開けて、普段はめっちゃきめ細かい地の文書いてますアピールすんな! ここまで読み進めた人にはバレてんぞ!」 「ハッ、そうや! 『ミカエルが刺激を与える度に、エイジは妖しく光った身体をくねらせ、熱い吐息が漏れる。彼の双丘には……』むぐぅッ!」 「無駄な抵抗はやめたまえ」 「んーーッ! んーーーーッ!」 「んんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」 「ぷはッ……、はぁはぁ……」 「さあ、ご褒美は終わりだよ。次から、お仕置きの番だ」 「え……、これ、ご褒美なん? 嘘やろ……」

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