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緋色の闇(14)
「お前は優しいな。俺の弱いところも駄目なところも、こうやって包んでくれる。昔からそうだった」
幼いころ、オバケが怖くて泣いていても、家族から離されて萎れていても、ヴィルターはいつでも寄り添ってくれた。
「俺が崩れずにすんだのは、お前のおかげだ」
ヴィルターの手が黒髪を撫でる。
「弱くて泣いてるレオが好きだよ。周りに誰もいなくなってもおれがいる。おれがこうやって抱きしめて、つらいことも全部忘れさせてあげる」
「うん……」
その手はレオンハルトの身体をすべり、胸の突起を弾いた。
「ふっ……ふふっ」
やっぱりくすぐったい。
しかし擦られるうちに、そこはジワリとこそばゆく徐々に熱をはらんできた。
「あっ……ん」
人差し指が乳首を撫で回す。
もう片方の胸は舌で弄られ、ヴィルターの口中で転がされていた。
ぞわりと背に快感が走り、下半身に集まる熱の塊を感じる。
「触ってほしいの?」
「そんなこと……聞くな」
胸を舐めながらの問いかけに、レオンハルトは声を震わせる。
涙のように精液を垂らして待っていた屹立に、ヴィルターの手が添えられた。
熱をさますような冷たい手。
なんて心地好い手なのだろうか。
レオンハルトの身体がビクリと跳ねる。
分かっている。
ヴィルター自身が告げたように、これはただの性欲処理なのだろう。
深い意味なんてない。
でも、縋りつけば優しく抱きしめてくれるこの腕が愛おしくてたまらない。
レオンハルトの身体を潰してしまわないよう、ヴィルターは自分の腕で体重を支えている。
でも、そんなの気にせず押し潰してほしい。
腕も足も動けないようにして、この男のものにされたらどんな心地だろう。
この腕に閉じ込められて、何もかも忘れさせてくれたら……。
「んん……あぁっ」
力をこめて握られ小刻みに擦られ、レオンハルトの先端からしとどに蜜があふれた。
なのにまだ果てない。
「ヴィル、もっと……」
レオンハルトの甘えた口調。
奉仕に徹底していたヴィルターの表情が切なげに歪む。
見ると下帯の一か所が張っていた。
布にはじわりと染みが広がっている。
「……挿れないのか?」
ゴクリと喉を鳴らしたのは、多分自分じゃないとレオンハルトは思う。
ヴィルターが小さく息を吸って、それから殊更にゆっくりと吐いた。
「どこに……挿れるか知ってるの? それとも挿れられたことがあるの?」
精液に濡れた手がするすると肌を滑る。
ぬるぬるの指に後孔を撫でられ、レオンハルトの尻がきゅんと縮む。
「そ、そんなのあるわけないだろ。でも、どこに挿れるのかは話だけなら……知ってる。その、知識として」
どんな知識だよとヴィルターの笑い声。
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