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高貴な瑠璃は散らされる(10)

「相手ができぬなんて言いながら、こうして触れただけで乳首が可愛らしく勃っている」  ツンと弾かれ、レオンハルトは呻いた。  痛みのせいだと……思いたい。  今度は人差し指と親指でつままれ引っ張られる。  屈辱と羞恥に桃色に染まる首筋を、ぬるりと熱い舌が這った。 「やめっ……」 「感度が良いな。初めては誰かに奪われたか? 寝言で言っていたヴィルという男か? もしかしたら嬲られることに慣れた身体なのか? それともこれは天性のものか?」 「んん……っ」  乳首を執拗に舐められ吸われ、舌先で突かれて捏ねられる。  瑠璃色の眸から雫がこぼれ、頬を流れ落ちた。  ポトポトとシーツに染みをつくる。  それは哀れを誘うものであったに違いなかった。  だがこの場合、王の激情を刺激したにすぎない。  レオンハルトの目の前で、ルーカス王は己の中指に舌を這わせた。  霞む視界の中でも、てらてらと濡れる指は凶器のよう。  やがて、それはするするとレオンハルトの肌を滑った。 「やめ……陛下、おねが……」  指がどこへ向かっているのか悟って、レオンハルトは必死で首を振り拒否を示す。  身体が動かないのは、薬を飲まされ圧し掛かられ自由を奪われているためだけではない。  声が掠れるのだってそう。  ただただ、恐怖が全身を支配していたのだ。  緩慢とした抵抗を同意と受け取ったわけでもあるまい。  あるいは最初から被害者の意志などには無頓着なのか、王の指はレオンハルトの後孔に挿し込まれた。 「うっ……」  乾いた粘膜を容赦なく擦られ、涙がさらに溢れる。 「狭いな。ここは誰も味わっていないようだ」  満足げな笑みとともに、王は自らの衣服も剥ぎ取る。  素肌を合わせると、レオンハルトの内腿を強引に開かせた。  そのまま身体を沈み込ませる。 「うぁぁ……やぁっ……」  先端が濡れそぼり、そそり立った王のものをねじ挿れられた。  容赦なく裂かれる痛みに、涙がとめどなく溢れる。  構わずルーカス王は上体を傾けた。  レオンハルトの奥へと侵入するためだ。 「少し……力を抜け。優しくしてやるから……っ」 「いや……だっ」  反射的な動きで腰を引いて逃れようとするも、抵抗は空しい。  尾てい骨のあたりを両手でつかまれ、動きを封じられた。  奥へ奥へ。  王は挿ってくる。  身体を強引に拓かれ、揺さぶられて擦られる。  衝撃と苦痛に嗚咽が漏れた。 「もうやめ……もうやだっ」  ずくん。  ルーカス王が小さく身震いすると同時に、レオンハルトの奥にじわりと熱が放たれる。

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