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「俺を奪え」(3)

「あいつ……許さない」  呟くとレオンハルトの首筋に舌を這わす。  ビクリと震える身体を両の手で押さえつけた。 「ヴィル、いたい……」  ほかの男がつけた痕を消そうと肌を思いきり吸うと、レオンハルトの身体がびくびくと震える。 「首も胸も脇腹も腿も、全部こうやっておれの痕にしてやる」  身体中に唇を這わそうと湯の中に顔を沈めようとするヴィルターを、レオンハルトの手が止めた。  濡れるよと微笑する。 「お前のものにしてくれるなら、ベッドでしてくれ」  レオンハルトの手が再びヴィルターの胸倉をつかむ。  引き寄せるように唇を合わせると、湯から立ち上がった。 「早く」と甘えるように目元が赤く染まる。  濡れた身体のまま寝室へと向かうレオンハルトの肩に、ヴィルターが慌ててガウンを羽織らせた。  廊下にいるかもしれないじいやとばあやの視線を気にしたからだ。  幸いというべきか二人の姿はそこにはなく、ヴィルターは幼馴染を抱えるように彼の自室へ連れこんだ。  部屋に入るなり、レオンハルトはヴィルターにくちづけをせがむ。  不器用に重ねられる唇に、ヴィルターはもどかしそうに応えてみせた。  そのまま、ふたりは寝台に倒れこむ。 「ヴィルぅ……」  圧しかかられ、身じろぎすらできない。  なのに、全身に感じる親友の体重が心地好くて、レオンハルトは瑠璃色の眸をとろりと潤ませた。 「昨日、大事にするって言ってくれたけど、もう大事にしなくていいから……」 「馬鹿だな、レオ。昨日と何も変わらない。大事だよ」  濡れた黒髪に息を吹きかけられ、耳朶を食まれた。  歯の当たる刺激に、レオンハルトの身体がブルリと震える。  耳たぶを、頬を、首すじを吸われ、ズクリと下半身が熱くなった。  繰り返される口づけがもどかしい。  見ると、ヴィルターの股間も大きく膨れ上がっていた。  途端、レオンハルトの呼吸が荒くなる。 「ヴィルも脱げ。早く……」  早く早くと親友の服を引っ張った。  最奥には今もドロリと嫌な感触が残っている。  昨日、長い指を挿し入れられても届かなかったところ。  暴虐の王に嬲られた秘部を、早く埋めてもらいたかった、ヴィルターのもので。 「ちょっ、待って。大切にしたいって言って……」 「それは分かってる。でも、もう我慢できな……」  ひくひくとはしたなく震える後孔に、尚も指を挿し入れて、やさしく慣らそうとするヴィルター。  そんな親友の胸を、レオンハルトの拳が叩いた。 「指じゃいやだ……っ」 「レオ……」  ヴィルターの頬に朱が差す。 「レオがそんなこと言ったら、おれだってもう限界……」  硬いものが押し当てられる感触。  無意識の動きだろう。  ぬるぬると溢れ出る精液をこすりつけるようにレオンハルトの腰が揺れる。 「レオ、挿れるよ」  腰に添えられていた手に、ゆっくりと力がこめられた。 「うっ、んんっ……」  押し挿れられる感覚に、腹の奥から得体のしれない震えが走った。  奥へ奥へと、待ち望んだものが侵入してくる。  ヴィルターのそれを一番奥へと受け入れた瞬間、全身の震えが頂点に達した。 「んあぁっ、ヴィル……っ」

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