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「愛」のおもいで(5)
あのころは姻戚関係という間柄で満足していたとヴィルターは続けた。
口調は静かだが、抗えぬ覚悟がそこにはある。
「今は違う。レオ、おれは君を恋人だと思ってる。決して離れない。君がこの手を血に染める覚悟なら、おれが楯になろう」
「ヴィル……」
恋人なんて歯の浮くようなことをよく言えたものだと、レオンハルトは苦笑する。
何を言っても駄目だ。もう俺に関わるな──そう言って、ヴィルターの手を振り払おう。
しかし一瞬触れた手の冷たさに、決意はあえなく砕けた。
「……俺はもう独りぼっちだと思っていた」
頬を挟む手に、そっと手のひらを重ねる。
「ルーカス王に地獄を見せてやる。あの男を王座から引きずりおろす」
もう穏やかな日々には戻れない。
この国の最高権力者に歯向かえば、地獄に落とされるのはこちら側なのかもしれないのだ。
「それなら、おれもレオと一緒に地獄へ落ちよう」
「ヴィル……」
頬をなでるヴィルターの手が、再びこぼれた透明な滴をそっと拭う。
吐息が唇に触れた。
孤独を享受するという決意はあえなく崩れ、迫る緋色の眼差しにレオンハルトはついに囚われてしまう。
「ヴィ……んっ……」
重ねた唇を思いきり吸われ、互いに求め合うように舌を絡めあう。
何度も深く唇をあわせると、貪るように口中を犯された。
「ヴィル、早く……。俺のなかをヴィルでいっぱいにしてくれ」
密着した身体をさらに押しつけると、ヴィルターはよろけるように椅子に座り込んだ。
唇を離したくない。
キスしたまま、二人はもどかしく互いの服を剥ぎ取る。
「ヴィル、ヴィル……はやく……」
ベッドに行きたいなんて、ねだる余裕はなかった。今すぐほしい。
台所の堅い椅子にヴィルターを座らせ、レオンハルトはその上に腰を落とす。
「レオのここ、ドロドロだ……」
下着を剥がれ、冷やりと冷たい指に先端を弄われる。
膨張したその場所は、涙のようにトロトロと滴を零していた。
触れられただけで腰が跳ねる。
「だめ……そこ触っちゃ駄目だ、ヴィル。気持ちよくなる……」
「なんで? 気持ち好くなってよ」
だめ、だめ……と喘ぎながら、レオンハルトはヴィルターの首に腕を回した。
頬をすりすりと重ねると、耳たぶを唇で食む。
「ナカで気持ち良くしてくれ、ヴィル」
「レオ……っ」
腹にあたるヴィルターのものが一気に固く膨れあがった。
もどかしげに前をはだけると、ヴィルターは両手でレオンハルトの尻を持ち上げる。
ひくひくと震えてねだる後孔に自らの先端をあてると、そのまま前後に揺すりだした。
性感帯になりつつあるそこにぬるぬると精液を塗りつけられ、レオンハルトの喉からはしたない喘ぎが漏れる。
「ヴィル、ヴィル……はやく……んっ」
嬌声を封じるように唇を奪われた。
口の中にぬるりと侵入する舌が内部を蹂躙する。
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