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「愛」のおもいで(6)

「んんっ……」  快感に、全身から力が抜けた瞬間。  下半身に信じられないくらいの圧が加えられた。 「あぁっ……ヴィルぅ……」  内部をくすぐられる快楽に、漏れるのは吐息。  深いくちづけがレオンハルトの呼吸を奪う。  奥へ奥へと。  挿入されるごとに切羽詰まった呼吸音が漏れる。  レオンハルトは苦し気に顔をそむけた。  しかし、ヴィルターの唇は容赦なく追ってくる。 「や……もっ、いきが……できな……っ」  かまわず口の中をかき回される。  いや、ヴィルターが動いているのはレオンハルトの腹の内部なのか? 「レオのナカ……びくびく震えて……っ」  恥ずかしい言葉のせいか、それとも腹を充たす快感ゆえか。  レオンハルトの眸からこぼれる涙。  ヴィルターの舌が頬を這い、滴を啜る。 「レオ、好きだよ。レオ……」  囁かれ、内部の昂りは頂点に達した。  同時に腹の奥を勢いよく穿たれた。  レオンハルトの内部で精を放ち、ヴィルターの表情が蕩ける。 「はぁっ、ヴィル……」  膨張していたものが、徐々に力を失っていくのを最奥の粘膜が敏感に感じていた。  内部はトロトロの精液で満たされていて、ほんの少し振動が加わるだけで新たな喜悦を生みそうだ。 「も……抜いてくれ、ヴィル」 「無理。レオのが絡みついてきて、おれのを離してくれないんだよ」 「なに言って……」  ヴィルターの膝に座るかたちとなっているため、射精したあとも抜けず、ふたりはずっと繋がっていた。  触れあうようなくちづけを何度も繰り返しながら、互いに離れようという意志はない。  ヴィルターの手はレオンハルトの腰に、レオンハルトの腕はヴィルターの緋色の髪を掻き抱いていた。 「レオ……」 「ん?」  身体の内側をゆるゆると擦られる快感と同時に、耳朶をくすぐる甘い声。 「王を玉座から引きずり下ろすって、どうやるんだ?」 「んっ……大切な存在を奪って絶望を味わわせてやる。俺が大切なものを奪われたように」  混ざり合う呼吸。喋りながらも時折、唇が触れあう。  レオンハルトの腰に添えられたヴィルターの手が、再び上下に動いた。 「あっ、ヴィル……っ。そんな動いたら……だめだ。なにも、考えられなく……なるっ」  内部に圧迫感が蘇る。  ヴィルターの屹立がレオンハルトの中で固さを取り戻したのだ。  ずっと挿入っていたせいで、内側が柔らかくなっていたのだろう。  それは、まだ触れられたことのない奥へと押し挿ってくる。 「レオの大切なものはおれだろ。ほかにはもう何もない。そうだろ?」  ヴィルターの口の端が笑みの形に醜く歪んだことに、このときレオンハルトは気付かなかった。  友情──いや、愛情が独占欲へと変じていくさまを、いつものように親友の優しさだととらえる。 「安心して。おれは奪われたりしない。レオのそばにいる。ずっとだ」  だから、その言葉にただ安堵したのだ。  存在を確かめるように何度も唇を求める。

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