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蜜月は終わった(4)
「はぁっ……」
衣服をすべて脱がされ露わになった肌に冷たい手が触れた。
「んっ……」
首筋をなぞり、ぷくりと膨れた乳首をつままれた。
臍(へそ)に舌が這う。
「あぁ……っ、ヴィル」
気持ち好いところを全部知り尽くしている舌と指は的確にレオンハルトのいいところをまさぐりつつ、下半身へとのびていった。
「復讐を果たすと言ってただろ。なのに王はまだ生きている。なぁレオ、王と何があったんだ?」
「な、何も……」
ルーカスが言ったこと、とくに父に関する話はヴィルターにはしないつもりだ。
いらぬ心配をかけたくない。
そもそもルーカスの言うことなど、どうして信じられようか。
父のことも、ヴィルターの疑惑のことも。
下半身へと降りてゆくヴィルターの頭に手を伸ばす。
血のように緋い髪に指を絡めると、彼が微かに微笑んだのが分かった。
──そうだ、俺たちは通じ合っている。
目の前のこの男を信じて、ちゃんと話をすれば誤解などすぐに解けるはずだ。
心のうちをすべて吐き出し、慰められ、あのころのように癒されたかった。
「あっ、ヴィル……そこは……」
「ここ?」
熱く張って先走りを垂らしているレオンハルトのそれを、ヴィルターが握りしめた。くすぐるように上下にこすると、先端から蜜が溢れ出る。
「ヴィル、そんなの……駄目だ」
気持ちいい。
だが身体がぴたりと触れ合うほどに、心も近くにあるとは今や思えなくなっていたのだ。
艶めかしい舌がレオンハルトの蜜を啜りあげる。
精液を舐めあげると、先端を口に含んだ。
「んんっ、駄目だ。そんなとこ……」
秘部をぬるぬると舐められる。
口の中に含まれ、濡れた粘膜に包まれて吸われた。
舌先で刺激されてレオンハルトの腰が激しく痙攣する。
「んっ、んっ……だめ。はなせ……射精(で)る……っ」
ヴィルターの頭をつかみ必死で引き離そうとするも、震える手は言うことを聞いてはくれなかった。
ますます強くなる口淫に、今しも達してしまいそうだ。
「ヴィル、もう我慢できな……んぁっ、あっ……」
背骨がとろけるような快楽とともに精液を放出する。
ヴィルターの口が放れることはない。
レオンハルトが射精(だ)したものを口の中で受け止め、こくこくと喉を鳴らした。
「レオ、かわいいよ」
「んっ、ヴィル……ぅ」
全身をひくつかせて呆けた表情で横たわるレオンハルト。
ヴィルターはその足を開かせた。
「あっ……」
後孔に指を挿し入れられ、レオンハルトが甘い吐息を漏らした。
内部をかき回したあと、指は静かに抜かれる。
「ヴィル、挿れる……?」
「うん、挿れるよ」
「ん……」
固いものに内部を圧迫され、レオンハルトは呻いた。
この男にこうやって抱かれるのは気持ちいいと分かっている。
だが挿入の違和感と、腹を穿つ痛みにはなかなか慣れなかった。
レオンハルトの名を囁きながら、ヴィルターが腰を動かす。
「あんっ……」
腹の内側を快感とともに抉られた。
奥へと押し拓げるように侵入してくるそれに、圧迫感と快感が込みあげる。
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