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第5話 そろそろ行くか

「テストの結果が返ってきたぞ!全教科80点以上だ!わっはっはー!」  こいつは俺に泣かされたのをもう忘れたんだろうか。  いつも通りの夏彦は、テスト勉強も体育などの実技も全力で頑張るタチだ。  教師からすれば扱いやすい生徒だろうし、悪いことをしないのにザ・真面目君ってわけでもないから女子からそこそこ人気があるのも知っている。  中学の頃はテストでたまに100点を取っていたような奴である。  高校に入ってからも頑張るのは変わらないらしい。 「すげーな。何位?」 「32位だ」  全教科80以上で30位以下かよ。今の高一、頑張りすぎ。  多分、高一の最初の中間テストだからだろう。みんな気合入っているのだ。  同じ学校の先輩として言わせてもらうが、俺達の学校はそんなに進学校ってわけでもない。家から近いから行くような学校でもないけど。ここからは夏彦みたいにいつも頑張る暑苦しい奴でなけりゃどんどん落ちていくだけだ。 「久世は、どうだったんだ?」 「俺?フツー。全部50点ぐらい」 「それはフツーなのか?お前、受験勉強はしなくていいのか」 「まだ一学期だろ。はえーよ」  俺は、高三。今年は受験生の歳だ。  つっても家が富豪のせいで大学入って好きなことやれればいいかなくらいにしか思っていない。  当然私立に行くし、大学は社会に出るまでの猶予期間ぐらいに考えている。テキトーに遊べて留年しなさそうなとこ選んで、それでいい。  うちはナントカの末裔らしくて土地で儲けているので長男の俺が跡継ぎになるだろうことは何となくわかっているつもりだ。  それに向けた勉強を大学で専攻しなければならないが、理系ではないので今からでもなんとかなるだろうと踏んでいる。 「つーかお前、俺とヤッて毎回ぐちゃぐちゃになるくせに俺が帰った後必死こいてテスト勉強してたんか。すげーな」 「当然だ!恋人がいても俺は成績を落としたりはしない!」  頼もしい限りである。  俺はその内夏彦を足腰立たないくらい責めてやろうと思っているが、別にこいつの邪魔をしたいわけではない。 「なぁ、ナツ」  夏彦がびくっと身を震わせた。  俺がこの呼び方をするときはヤるときだからだ。  俺は夏彦のベットに寝そべっている。  キャスター付きの勉強机の椅子に座っていた夏彦の手をぐっと引っ張ってドサッとベッドに引き込んだ。  夏彦が俺とじっと目を合わす。 「なぁ、そろそろ行くか」 「えっ、どこにだ」  俺は夏彦に覆いかぶさり四つん這いにさせた。  抵抗感があるのか、何をされるのか悟ったのか、夏彦の動きはギギギ……とぎこちない。

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