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第26話 互いに
ストーリーが進んで場面が切り替わる。
『はぁ~。お昼食べ損ねちゃった』
「昼休み長げえだろ。何してたんだよ主人公」
俺のツッコミに構わず夏彦がゲームを進める。
『古賀っ。もしかしてお昼、食べてないのか?それなら俺のを分けてやろう!』
『お、幼馴染の章太郎……。いつも私には優しいのよね。それに私想いっていうか、本当に弟気質なんだから!』
『食事は体の資本だぞ!好き嫌いなくいっぱい食べろ!』
『あ……ありがとね。でも、そんなことしたら章太郎の分が減っちゃうじゃない』
『俺は良いんだ。古賀が元気で居てくれれば……』
『章太郎……』
「グハッ!!」
「どうした久世!?」
「どうしました久世先輩!?」
なんだこの弟属性の幼馴染!健気か!てかどことなく夏彦に似てるな!?
そこでピンポーンとまた呼び鈴が鳴る。
貝原さんが対応してくれているのがわかるが、十中八九風巻だろう。
「よお、お前ら」
土産も持たず現れた風巻が部屋に入ってきてそのまま床に座る。
「早かったな」
「今日は深夜発売のゲームの為に出かける準備してたからな」
風巻といい古賀といい、やたらと新ゲームの情報をチェックしているのは何なんだろうか。
ゲームの方はまた新しい男が登場していた。
『……俺の睡眠の邪魔する奴は誰かと思えば、古賀かよ』
『陽太!?中庭なんかで何してるのよ』
『中庭は俺の寝場所なんだよ。……ったくお前とは昔から腐れ縁だな』
『なによ。先輩だからって偉そうにしないでよね。中庭なんて誰が来ても良いじゃない』
「お、もしかしてこれ、無理恋?」
「流石風巻先輩!気づいちゃいました?」
「ゲットすんのはえーな。お前持ってんなら俺これ買わなくていいや」
「えーっ。先輩、ずるいですよ」
「いいだろ。俺にもやらせろ。で、お前らはどのキャラが良いんだ」
風巻が俺からコントローラーを奪う。
「俺は……正樹って奴が」
「俺は、章太郎って奴が」
夏彦と俺で意見が割れる。
というかお互いがお互いに似たキャラを好きになってしまっている。
「しゃーねーな。じゃあここは好感度同時上げするしかねーよ。全員まんべんなく好感度上げる」
風巻がゲームを進めていく。
「夏彦……まさか正樹とかいうキャラ好きになってないか?」
「く、久世こそ……章太郎とかいうキャラに反応してたじゃないか」
手持無沙汰になった俺は夏彦に問いかける。
夏彦がムッとして言い返してくる。
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