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第27話 ゲームより
イラっとした俺はつい夏彦に命令する。
「ナツ、キスして」
ここで動揺したのは古賀だ。
「えっ、急に!?ここで!?何言ってんですか!?」
俺は気にせず再度要求する。
「ナツ、キス」
「……」
夏彦が明後日の方向を向いて俺を無視する。
古賀がこちらを穴が開くほど見つめているのがわかる。
風巻は俺達の存在を無い者のようにしてゲームを進めている。
「ナツ、キスは?ゲームなんかより俺のこと、好きだろ?」
「……」
ゆっくりと動いた夏彦がちゅ、と唇に触れるだけのキスをする。
「舌出せ」
「っ……」
「え!?マジ!?オイオイオイオイ」
古賀が騒いでいるが俺は夏彦の顎を捕まえてトントンと舌で夏彦の唇をつつく。
夏彦の唇を舐めて、吸ってやる。
「ぁっ……」
とうとう堪えきれなくなった夏彦の口が開き、その隙間から舌をねじ込んだ。
「ちょっと!マジ何やってんの!?風巻先輩止めてくださいよ!」
「気にすんな」
「気にしない方が無理あるでしょ!このままおっぱじめんじゃねえのこいつら!!」
「オイ古賀!!」
「なんですか!?」
「隠しキャラだ」
「え!?あっほんとだ!?どうやって出したんですかこいつ」
「全員の好感度まんべんなく上げてたからそれだろうな」
「ええー!?すげえ!!」
舌を絡ませながらちゅっちゅとキスを続ける俺達の傍らで風巻と古賀が盛り上がる。
夏彦はもう、友人にキスの現場を目撃される羞恥心は突破したようで、すっかり力が抜けている。
「ナツ、ベッド」
「うん……」
俺は夏彦の身体を支えてベッドになだれ込む。
「古賀ァ!!隠しキャラ攻略すんぞ!」
「了解です先輩!!任せてくださいここが俺らの腕の見せ所、フヌヌ……」
こうして古賀と風巻は乙女ゲームの隠しキャラ攻略に精を出し、俺と夏彦はゲームキャラへの嫉妬をダシにベッドの中でイチャイチャし放題で何時間も過ごした。
力が抜けてクタッとしなだれる夏彦、最高。
最初は無視する癖に結局俺の思い通りになる夏彦可愛すぎる。
俺はゲームする二人の側で存分に夏彦を可愛がった。
古賀はなんかもう半分自棄になってゲームに集中していた。
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