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禁欲の果てに
「あ……」
囚われ続けていた性器が冷たい空気に晒される。
女の味を知らぬ、柔らかな皮に包まれた肉棒が、ヴェルトの前で露わになる。
「ん……♡」
途端に欲望が膨れ上がり、天を仰ぐ。
30日振りの、完全なる勃起。
ミキの言う通りそれだけで気をやりそうになり、ヴェルトの目を憚らず足を広げて勃起の悦びに身を任せる。
「はあっ、はあっ♡ ぼっきぃ……きもち、い……♡」
右手で屹立した自身の劣情を握り、30日の空白を埋める為に慰めようとする。
「んんん……♡」
握っただけで今まで感じた事がない程の快楽に襲われる。
無理な禁欲を課され極限まで感度を高められた性器を、容赦無く上下に擦る。
気が狂いそうな程の快感がカイラを襲う。
「はぁ♡ しこしこ♡ きもちいっ♡」
時折息を漏らし、涙を流しながら手淫し続ける。
「だめ、落ち着いてカイラ君」
武器を床に放ったヴェルトは、カイラの両手を押さえるように彼を組み敷いた。
寸止めされた気分になり、肉棒を滾らせながら腰を振る。
「おっ、お願いです、離してくださいヴェルトさん……僕、もう……!」
「分かってる、分かってるよ。だけど確か夢魔の呪いで自分以外の人にして貰わないとダメなはずだ」
ヴェルトの手が下に伸び、カイラの欲望をそっと包み込む。
(まるでマグマみたいだ……こんなになるまで我慢してたのか)
「あ……♡」
甘い感覚にカイラは思わずヴェルトの背に手を回した。
「大丈夫、リラックスして……安心して、刺激に集中して」
ゆっくりと、ゆっくりと。
子供を愛でるかのように優しく、慰めてゆく。
「すぐに楽にしてあげるからね……」
桃色の鈴口から更に蜜が溢れ、ヴェルトの手を濡らす。
「はぁ、あ♡ きもちい♡ きもちい♡」
先走りがまるでローションのように絡みつき、滑りを良くし、更に快感を高める。
(あのカイラ君がこんなに淫れるとは……余程辛かったんだろう)
「ごめんね、気付いてやれなかった」
刺激に慣れてきたのを見計らい、徐々に擦るスピードを上げてゆく。
「でも、こんなに我慢する前に僕に相談してよ……迷惑だとか、そんな風に思わないからさ……」
「ご、ごめんな、さい」
「謝る事ないよ……もう我慢しないでいいからね」
本格的にストロークを始める。
カイラの体がより熱くなり、ヴェルトの背に爪を立てる。
「ああっ、もうっ、出ッ、出ますっ……♡」
そして……
今まで溜め込み続け煮えたぎっていたモノが駆け上り……!
「あ……ッ、~~~~ッッ♡♡」
声にならぬ声を上げながら、カイラは精を吐き出す。
長い禁欲のせいで精液がゼリー状に化している。
それが尿道を押し広げ、噴水のように噴き出すのだ。
「あぁ……っ♡ と、とまんにゃひっ♡」
ドクドクと脈打ちながら白濁を吐き出しカイラ自身の胸や腹を濡らしてゆく。
「やぁあっ、とまってぇっ♡」
永遠に出続けるのではないかと錯覚する程長い射精。
その間、ヴェルトは蠕動するカイラの肉棒を握ったまま手を止めていた。
自分の腹全体を自分の精で濡らした頃、長い絶頂が終わった。
「はぁっ、はぁ……うぅ~~ッ」
ようやく我に帰ったカイラは耳まで紅潮させた。
「ごめんなさい、ヴェルトさんの手、汚してしまって」
「大丈夫、大丈夫だよ」
ヴェルトは彼の頭を優しく撫でた。
カイラは今にも泣きそうな表情を浮かべてはいるものの、体は1度の絶頂では満足しなかったようだ。
ヒク、ヒク。と震える肉棒を、カイラは無意識のうちにヴェルトの手に擦り付ける。
一瞬だけ躊躇った後、ヴェルトは再びカイラの封印されていた部分を握る。
「ひぁ♡」
「出し足りないんだね? 君が満足するまでやってあげる」
***
「うぁ……イっ……!」
カイラは遂に5回目の絶頂を迎えた。
何度も射精を繰り返した為、水のような精液を少量出しただけ。
「はぁ、あ、あぁ……♡」
カイラは力無くベッドに身を委ねる。
あれほど張り詰めていた陰茎は、満足げにだらんと垂れ下がっている。
熟れた果実のように膨らんでいた陰嚢はすっかりしぼんでしまった。
「……よく頑張ったね」
優しく声を掛けるヴェルトの姿は大人そのもの。
だが一方で、ヴェルトの雄としての部分は屹立し、カイラの体を求め始めている。
これは夢魔の呪いによるものだ。
(……この子にこんな感情を抱くなんて)
ヴェルトはゆったりとした寝巻きでなんとかソレを隠したのと同時に。
ベッドの上に転がっていたままの貞操帯が突如カタカタと動き出し、浮遊し始める。
飛行した貞操帯が、再びカイラの陰部を覆ってしまった。
「ッ!」
カイラは貞操帯を何とか外そうと試みるが……悲しいかな。まるで体の一部であるかのように外れない。
「この呪いは、インキュバス自らが呪いを解くか……もしくは、奴を殺すかしかない。カイラ君、逃げたインキュバスを探そう。その間、僕が君の事を満足させてあげるからさ」
「っ……ヴェルトさん……!」
自分は、インキュバスにすら負けた情けない魔導士だ。
それなのに、ヴェルトという冒険者は手を差し伸べてくれている。
これ以上、カイラにとって嬉しい事は無かった。
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