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訓練後

「……あっ♡」  カイラはヴェルトの下で甘い息を吐いた。  シャツのボタンを外され、露わになった双丘の頂きをヴェルトに弄ばれている。 「可愛いよ、カイラ君」  と囁かれ首筋に口付けされる。 (なんだか最近、だんだんと手伝いの時間が長くなってる)  最初は肉茎を刺激するだけだったのが、軽い愛撫が始まり、今ではまるで性行為前のようなペッティングを受けてから射精させられる。 (ヴェルトさんに抱きしめられてると安心するようになってしまった)  カイラはヴェルトのしなやかな体に手を回す。 「気持ち良い、です」 「だろうね。表情が蕩け切っててさ……女の子みたいだ」  ヴェルトに唇を奪われ体を弛緩させる。 (これじゃまるで恋人だ……)  あれ? とカイラの頭上にクエスチョンマークが浮かぶ。 (僕とヴェルトさんってどんな関係だったっけ……? 仕事仲間? 友達? 先輩? ……まさか、恋人?) 「あの、ヴェルトさん……?」  未だに胸を弄ばれながら、カイラは口を開いた。 「うん?」 「ぼっ、僕たちって……付き合ってっ♡ ……るんでしたっけ」  一瞬だけヴェルトの手が止まった。 「いや? 付き合ってないよ」 「そう……でしたっけ」 「そうだよ」  しばらくカイラの甘い息のみが部屋に響いた。 「あの、ヴェルトさん……♡ もし、僕がヴェルトさんの事が好きって言ったら、ヴェルトさん……どう、し____」  ヴェルトに抱き締められながら期待で膨らんだ肉茎を握られ、カイラは甘く鳴いた。 「カイラ君、それほとんど告白だよ」  あっさりとした口調で囁かれ、屹立を慰められる。 「あっ♡ ヴェルト、さ……♡」  まだ敏感なせいもあり、すぐに達しそうだ。 「うーん……そうだね、もしカイラ君からそんな事言われたら……『もう少し大人になってからね』って言うんじゃないかな」  カイラの屹立から蜜が溢れ出す。 「あっ♡ でっ、で……ヴェルトさん……♡」  告白を断られながら慰められる。  なんと惨めな事か。  ヴェルトの表情は見えないものの、彼の体温と鼓動を感じる。 「ほら、カイラ君……早く出しちゃいなよ」  冷たい声色にすらカイラの体は反応し、多幸感を感じながら気を逸し、絶頂による産物で自身の腹を汚す。 「汚しちゃったね。ちゃんとシャワー浴びなよ?」  ゆっくりとヴェルトはベッドから立ち上がる。 「じゃあ僕は自分の部屋に戻ってるから。じゃあね」  手をひらひらさせて、未だベッドに横たわり動けないカイラをそのまま置き去りにした。    ***  自室に戻りドアを背にしばらく棒立ちになっていたヴェルトは、やがて顔を真っ赤にさせて口元を塞ぐ。  ストレートではなかったが、カイラから好きだと告白された。  告白など何度もされてきたヴェルトが、青い学生のような反応を示す。 「こっちは必死に抑えてんのに」  ヴェルトは紙を数枚取ってからベッドに腰掛ける。  カイラの手伝いをした後は、毎回のように自分を慰めているのだ。今日は一段と体が熱く、射精しなければ収まりそうにない。  ヴェルトは熱い息を吐きながら、天を穿つ屹立を自らの手で慰める。  初めてカイラの手伝いをしたその日から、ゆっくりと。だが確実に理性を失っていった。  カイラの為だけにやっていたはずの手伝いが、だんだんと自分の為にもなりつつある。  最初、ヴェルトはカイラを想いながら達した事に対して罪悪感を覚えていた。  だが、次第に罪悪感が薄れ……ヴェルトは毎回カイラの事を想いながら己を高めるようになった。 (ホント……最低、だよなぁ)  最初は軽く全体を撫でる。 (カイラ君まだ子供なんだってば……)  亀頭を優しく擦る。 (下手すりゃ犯罪だってのに……)  指で輪を作り、雁首のみを刺激する。 (もう抑えられる気がしない……)  屹立を手全体で握り、ストロークを始める。 (しかもさっきカイラ君、僕の事好きって……僕、よく自分を抑えられたよ、誰かに褒めて欲しいくらいだ)  すぐにでも彼と繋がりたい。  彼の年齢と神聖とも言える無邪気さがヴェルトの劣情を抑え込んでいるのだが、既に破裂寸前となっている。 (初めての男……か)  今まで様々な女性と付き合ってきたヴェルトが、初めて抱かれる側となり思い知ったのだ。  アイツの言う通り、「一生ソイツの頭と体に自分という存在を刻み込める」のだろう。  実際、ヴェルトは嫌いなアイツとアイツの欲望の事が忘れられずにいる。 (僕がカイラ君の初めてになれたら……)  この思いはきっと、ほんの些細なきっかけで溢れ出してしまうだろう。  いよいよ達しそうになり、ヴェルトは体を強張らせる。  カイラの体温や表情を思い出しながら、ヴェルトは紙の中へ精を吐き出した。    ***  ヴェルトに言われた通り軽くシャワーで全身を洗い流した後、カイラは再びベッドに横たわった。  未だにヴェルトが酒に酔って帰って来た時の言葉が忘れられない。あの時の真剣な声色……とても酔いどれの言葉とは思えないのだ。  だが、断られてしまった。 『あの、ヴェルトさん……♡ もし、僕がヴェルトさんの事が好きって言ったら、ヴェルトさん……どう、し____』  昂っていた時の自分の言葉を思い出す。  ヴェルトと同様、カイラも彼に好意を抱き始めていた。  仲間としてでもなく、冒険者としてでもなく、愛する人として。  彼の優しさも、最低な性格も、体や身のこなし全てまとめて。  一緒にいると心が落ち着く。頻繁に驚かされ、ときめかされもする。時々怖いけれど、それは自分の事を大切にしてくれている証拠だ。 「フラれちゃったなぁ」  カイラの独り言が寂しく響いた。 「ヴェルトさんが酔っ払った時に告白されて嬉しかったのに……なんで忘れちゃうんだろうなぁ」  深い溜息を吐く。  隣の部屋でヴェルトが葛藤している事を知らぬまま、カイラな眠りについたのだ。

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