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アフターケア
「ん……」
ラブ……もといディックは気持ちよさそうに唸った。
ベッドに座っているドラッグの翼を、ダーティが手入れしているのだった。
「これで終わりだからな、ラブ」
柔らかなブラシを使い、洋服のホコリを払う要領で翼の微細な汚れを落とす。
「あぁ。毎回すまねえな」
行為が終わった後、ダーティは必ずディックの姿を整えるのだ。
風呂に入らせ、インキュバス特有の翼と角を手入れしてやる。
「自分のペットには常に綺麗でいて欲しいからな」
「……ペットか」
「あぁ、お前は俺の可愛いペットだよ。嬉しいだろ」
「ん……」
それは肯定の意を含んだ唸り声。
丁寧にブラシ掛けをした後、ダーティは「よし」とペットの肩をポンと叩いた。
「こっち向け」
ダーティに言われた通りドラッグは体ごと振り向いた。
いつもワックスで整えている黒髪をそのまま下ろし、銀縁のメガネの奥で眼光を鋭く光らせている。
大柄な体からは力強さを感じさせ、とても先程まで男に組み敷かれ生娘の如く喘いでいたとは思えない。
その端正な顔立ちにダーティは惚れ惚れとして、軽いキスをディックと交わした。
「……さて。時間も経って、日も落ち始める頃だ。そろそろ一興の為の準備を始めるか」
と言って嬉々としてベッドから起き上がるダーティの背を、ディックは呆れ顔で見上げた。
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