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実践

 今回の話は苦手な人が多いような気がしたので先に書いておきます。  今回は不貞行為(ヴェルトとハルキオンの性行為)のシーンが含まれます。  ついでにハルキオンメインな話なので鬱要素もあります。自傷行為を含む要素もあります(決して自傷行為を推奨または美化する目的はございません)。  なんでも許せるという方だけお読みいただけると嬉しいです。  この「実践」という話と章の最後の「カイラの特訓」は、ヴェルトがカイラのお尻を触りまくる話なので安心してお読みいただけると思います。    *** 「カイラ君」  妙に上機嫌なヴェルトの呼び掛けに、カイラはやや不穏な感じを抱いた。 「そんな顔しないでよ。……実を言うとね、勉強してきたんだよ」 「勉強……ですか?」 「そう」  ヴェルトはカイラを抱き上げベッドに降ろし、覆い被さった。  紫の瞳に見下ろされるだけで心臓が高鳴り、カイラはこれからの事に期待してしまう。 「カイラ君が僕を受け入れられるようにする為の勉強」  少し間を置いてようやくその意味を理解したカイラは、顔を真っ赤にする。 「あっはは、可愛いなぁカイラ君」  ヴェルトは愛おしげにカイラの柔らかな唇を奪う。  勉強というより、ダーティがベラベラ話し始めたのを聞いていただけなのだが……無知よりはマシだろう。  道具もしっかりと揃えたので、この無垢な少年を自分色へ染める準備は万端。 「今からシても大丈夫?」  カイラの手のひらにヴェルトの手が重ねられ、恋人繋ぎのように指を絡ませる。  カイラが躊躇いながらも頷いた途端に、貞操帯が音を立てて緩んだ。 「でも、初めてなので優しくしてくださいね……?」  カイラが目を小動物のようにうるうるさせるのでヴェルトは理性を飛ばしそうになるが、独りよがりのセックスはセックスとは言えないとヴェルトは自己を律する。 「もちろんだよ。痛かったり怖かったりしたらすぐに言うんだよ?」  ヴェルトは慣れた手つきでカイラの衣服を脱がせ、最後に忌まわしき貞操帯を完全に外してやる。 「あの……ヴェルトさん、見られるの恥ずかしいです」  傷ひとつない白く柔らかな肌。  双丘の頂にある桃色の蕾。  物欲しそうに蜜で先を濡らす、ほんのりと赤みを帯びた肉茎。  未だ青い少年の艶姿(あですがた)に当てられ、ヴェルトは体を火照らせる。 「恥ずかしいとか言ってる割にはさ、触って欲しそうに立たせてるよね」  脇の辺りに両手を添えて、親指の腹で軽く押しながら円を描くように2つの頂を刺激する。 「あっ♡ だめ、です……っ♡」  カイラは身を捩らせる。 「こら、気持ち良いのから逃げちゃダメ」 「やっ……あぁぁ♡」  どれほど快楽から逃げようとしてもヴェルトの指が離れず、カイラは背を逸らしビクビクと身を震わせる。  ひとときの解放を許された肉茎が、早く触ってと健気に勃ち上がりおねだりする。 「カイラ君ってばヘンタイだよねぇ。胸触られるだけでこんなに淫れちゃうんだから……僕だけの可愛いヘンタイだ」  まるで子供に話しかけるような口調。ヴェルトはカイラの首筋に口付けして柔らかな皮膚を噛む。 「あっ♡ や……っ! また……っ!」  ヴェルトにより2つ目の赤い跡が刻まれた。 「明日ハルなんちゃらの所へ行く予定だもんね? 今のうちにカイラ君が僕の|者《モノ》だって証拠を体に刻んでおかないと」 「……っ♡ ヴェルトさんいい加減に……っ♡ ハルキオンさんの名前くらい覚えっ……て♡ ください♡」  「やだね」とヴェルトは更に強く胸の頂を刺激する。 「やぁぁぁっ♡」 「カイラ君はあんな奴の事なんて考えなくて良いの。……さて、お遊びはこれくらいにしておこうか。カイラ君、自分自身に浄化魔法かけてくれる?」 「っ、はい……♡」  ヴェルトに体を離されたカイラは、無詠唱で自分の腰回りに浄化魔法をかけた。 「で、クッションを腰の下に置いて、うつ伏せに寝転がって」  カイラは言われた通りクッションを腰の辺りに敷いてコロンと寝転がった。  クッションのせいで尻が持ち上げられる。まるでヴェルトに尻を差し出してるような妙な気分になり、カイラは更に赤面する。  はやる気持ちを抑えながら、ヴェルトは少年の尻の頬をを軽く撫でた。 「あの、ヴェルトさん……僕恥ずかしいです」 「何言ってるのさ。今まで散々恥ずかしい事してきたのに」  「それに」とヴェルトはカイラの耳元に口を寄せる。 「この前カイラ君にされた事、忘れてないからね……?」  ヴェルトが言っているのは、ガゼリオが暴挙に出た日の夜の事。  夢魔による魔法の効果が残っていると知り、カイラはヴェルトの嫌な記憶を上書きするという名目で、彼の中へ指を3本入れ絶頂を味わせたのだ。  リードを握られるのが嫌と明言しているヴェルトの事だ。相当根に持っているに違いないと、カイラは背筋に冷たい物を感じた。 「ちょっと待っててね……ほら、買ってきたから潤滑油。カイラ君みたいに魔法で代用できるほど器用じゃないからさぁ……」  うつ伏せになっている為ヴェルトの様子を見る事ができないのだが……潤滑油の封を開ける音が耳に入り、カイラは布団に顔を埋めた。 「カイラ君、触るよ」  と言い終わらないうちに、ヴェルトはカイラの尻の頬を広げた。これでは恥部がヴェルトに丸見えだ。 「わっ! わっ!」  驚いたカイラは声を上げる。 「ヴェルトさん恥ずかしいです……っ!」 「恥ずかしい?」  カイラは激しく頭を縦に振る。 「仕方ないなぁ」  ヴェルトはベッドから立ち上がり、何かを取ってきた。 「はいこれ」  ヴェルトがカイラに手渡したのは……茶色いウサギのぬいぐるみ。  垂れた耳とつぶらなガラス玉の瞳が何とも愛くるしい。 「あの、これ……なんです?」  まさかヴェルトからぬいぐるみを貰うと思っていなかったカイラは、ウサギのお腹をフニフニと揉みながら訊ねる。 「潤滑油買った店のマスコットキャラクターのぬいぐるみだよ。運命感じて買ってきちゃった」 「運命……ですか?」  訳が分からず、カイラは訊ねる。 「そのウサギね、『快楽』って言葉から名付けられたらしくて、『カイラ君』って名前なんだよね」  えっ。と驚きの声を上げたカイラの背にヴェルトは微笑んだ。 「人間のカイラ君と同じ名前なんてさ、もう買うしかないよね。こいつ抱き締めてれば恥ずかしさなんてどうでも良くなるって」  と再びヴェルトはカイラの尻に手をかける。 「やっ♡ やだっ♡ やだっ♡」  本気で嫌がっている訳ではないと踏み、ヴェルトは特訓を続行する。 「へぇ……こうなってるんだ」  数ヶ月前までのヴェルトは想像すらしなかっただろう。  まさか少年の窄まりを観察しながら自身の欲望をそそり勃たせる日が来るとは。  自身の欲望を飲み込めるかどうか怪しいほど締まっている出口……いや、入り口。そこから続く蟻の門渡りと、少年の欲望を溜め込む袋。  ヴェルトは思わず生唾を呑み込んだ。 「や……♡ 見ないで、ください♡」  カイラは自身の鈴口が更に湿るのを感じながら、『カイラ君』に顔を埋めて恥のあまり震える声で懇願する。 「やだね。早速触るよ」  カイラの願いを一蹴したヴェルトは潤滑油を指の腹に乗せ、それを塗るようなイメージでカイラの窄まりに触れる。 「ひっ……わっ♡ わぁぁっ♡」  今にも泣き出しそうな表情を浮かべながら、カイラは驚きの混じった甘い声を上げる。  腰の辺りをヒク、ヒク。と震わせながら、カイラは恥を耐え忍ぶ。  ヴェルトは窄まりと窄まり周辺をくるくるとなぞるように解し始める。 「カイラ君あのね。この事を教えてくれた……というより勝手に話し始めた人が言ってたんだけどさ。初めての人に優しくしてあげたい時は、相手を落ち着かせる事が大事なんだってさ」  ヴェルトは空いた手でカイラの背をそっと撫で始める。 「ん……♡」  隙あらばヴェルトに体を撫でられてきたカイラは、それだけで安堵感を覚え落ち着きを見せ始めた。 「そうそう、良い子だね……まずは触られる感覚に慣れていこうね」  自身の欲望を理性で何とか抑えながら、ヴェルトはカイラの後孔を解し続ける。 「あ……やぁ……っ♡」 「どう? 今どんな感じ?」 「……っ、最初は変な感じがしたんですけど……なんか気持ち良くなってきたかもしれません……」 「へぇ……じゃあカイラ君。もうちょっと頑張ってみようか? 指1本だけ少し挿れてみようか」 「えっ……えっ♡」  困惑したような……しかし、何かを期待しているような声。 「まだ怖い?」 「……ちょっと、怖いですけど……でもっ、お願いして、良いですか……?」 「分かった。でも、本当に怖くなったら止めてって言うんだよ?」 「はい……っ♡ あの、ヴェルトさん……」  カイラは片手を『カイラ君』から離し、下へ伸ばした。 「手、握ってもらえませんか……? そうしたらきっと、怖くないです」  そのようなカイラをより愛おしく……むしろ尊く思いながら、そっとカイラの手に自身の手を重ねた。 「じゃあ……挿れるよ」 「っ、はい」  やや緊張気味のカイラの手を軽く握り、遂に指を蕾の中へ。 「はっ、うぅっ!? ……うぅ~~っ」  唸りながらカイラはヴェルトの指先を飲み込む。 「痛くない?」  カイラは頷いた。 「じゃ、もう少し進めてみようか」  更に指をカイラの中へ這わせ、1番悦ぶらしい場所へ。 「ん……♡ そこ、なんか少し気持ち良いかもしれません」 「じゃあ、もう少し触り続けてみようね」 「はい……♡」  しばらくヴェルトに触れられ続けていると、違和感や恥が徐々に快感に変わってゆき、カイラは『カイラ君』をキュッと抱き締め甘い声を上げる。 「あっ……♡ きもちい、です♡」 「もう気持ち良くなってきた? カイラ君才能あるんじゃない?」  それから更に少しだけ解してやった後、「初めてだし今日はここまでにしておこうか」とヴェルトは指をゆっくりと抜いた。 「あんっ♡」  甘い声を上げ、カイラはヴェルトの指の感覚を脳内でリプレイする。 「かなり良いペースじゃないかな? 思ってたより早くできるかもね。……セックスって1人が気持ち良くなっても意味ないからさ。ナカで気持ち良くなれるよう頑張ろうね」 「っ、は、はい……♡ あのっヴェルトさん。僕、射精したいです」  コロンと仰向けになり、完全に勃った状態で先走りを滴らせる肉茎をアピールする。 「カイラ君」 「っ、はい?」 「僕の理性を褒めてね? こんな事されたら襲いたくなっちゃうよ」 「ヴェルトさんになら、襲われても良いです」  その返答を聞いたヴェルトは失笑した。 「駄目だよカイラ君。指1本ですら怖がってる君がさ」  ヴェルトはズボンから自身の屹立を引っ張り出した。 「コレを飲み込める訳がないだろ?」  と言いながらソレをカイラの肉茎と重ね合わせる。自分のモノに余程の自信が無ければできない事を、いとも容易くやってみせた。 「わ……わっ♡」  大きさも、硬さも、経験も。自分の肉茎は何もかもがヴェルトに負けてしまっている。  カイラは男としての何度目かの屈辱を味わされたのだ。 「何度か女の子に拒絶された事もある」 「……大変ですね」  カイラは呆れ声で呟いた。 「そうだよ。これはこれで色々大変なんだよ? たまにトイレでジロジロ見られる事もあるしね? カイラ君のティニーが羨ましいよ」 「絶対羨ましいって思ってないでしょ」  男の象徴を不名誉なあだ名で呼ばれたカイラは頬を膨らませる。 「そんな事ないさ」  とヴェルトはニヤニヤ笑いながら腰を動かして屹立同士を擦り合わせる。 「わっ♡ わっ♡」 「頑張って勃起しててカッコ良いよティニー」 「っ、話しかけないでっ♡ ください♡」 「ティニーは女の子に怖がられなくて良いねぇ? ……そもそも挿入った事すら気付かれないかも」 「そんな事ありません! ……あ♡ いっ、嫌味なんて……♡ 言わないでくださいっ♡」 「じゃあ直球で言っちゃおうかな」  ヴェルトは更に強く屹立同士を擦り合わせる。 「あんっ♡」 「小さい癖に性欲だけは倍以上あるもんね? 生意気だよティニー」 「はっ♡ はっ♡」 「しかもこの前は僕に突っ込みたいとか何とか言ってたしさ? ティニーはずっとお飾りのまま。童貞のままで良いんだよ」 「いやっ♡ いや、ですぅっ♡ ……んっ♡ ~~~~ッッ♡♡」  白濁を吐き出しながらビクンビクンと何度か跳ねた後、ゆっくりと小さくなってゆくティニー。 「しかも射精までが早いんだよ。こんなんでヤりたいなんて100年早い」  つまり一生無理という事。 「はぁ……はぁ……あのっ、ヴェルトさん」 「ん?」 「僕のってそんなに小さいですか? その……僕、普通だと思ってたんですが」  それを聞いたヴェルトは失笑して、 「はぁ? ちっちゃいに決まってんじゃんナメてんの? 舐めるのはキャンディと僕のだけにしときなよ」  とんでもない暴言を吐いた。 「~~~~!?!?」  カイラが口をあんぐりとさせたのを見て、ヴェルトは「あっごめん」と声を上げる。 「ごめんねカイラ君? 昔付き合ってた彼女がこーゆーの好きでさ。たまに出ちゃうんだ。ごめんね?」 「……あの」 「ん?」 「ヴェルトさんの事、最初は優しいお兄さんだと思ってたんですが……悪い男の人だったんですね」 「そうだよ? 今更気付いても遅いよ……君の事もう離すつもりないからね」  犯罪者ヴェルトは実に愛おしそうに無垢な少年カイラの唇を奪ったのだった。

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