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翌朝
窓から差し込む朝日を浴びて、カイラは目を覚ました。
鳥の囀りがなんとも心地良い。
寝ぼけた頭で昨日の出来事を思い出し……カイラは頬を真っ赤に染めた。
(あれ……ヴェルトさん、どこ行ったんだろ)
裸で寝たはずなのにいつの間にか寝巻きを羽織っていたカイラは、ベッドから起き上がりリビングに降りる。
「あ、おはようカイラ君」
そこには、ソファに腰掛けティーカップを手にしたヴェルトの姿があった。
寝巻き姿で、絹糸のようにしなやかな銀の髪をそのまま下ろしている。
「今お茶淹れてくるね」
「あっ、ありがとうございます」
リビングの椅子に腰掛けていると、ヴェルトが「どうぞ」と言いながらカイラの前にティーカップを差し出した。
「いただきます」
相変わらず、ヴェルトに茶の知識が全く無い事が分かる味だ。
「……あの、ヴェルトさん」
対面に腰掛け頬杖を突くヴェルトに話しかける。
「僕達、昨日の夜……」
「そうだね。遂に最後までできたね」
ヴェルトに先回りされ、カイラは口を噤む。
「いやぁ、可愛かったよ。ずっとキャンキャン鳴き続けてさ」
「ヴェルトさんこそ。余裕無さそうな顔してましたよ」
「……どうしましょう」とカイラは悩ましいそうに続ける。
「僕、癖になっちゃいそうです。……またヴェルトさんと繋がりたいって思っちゃいます」
「奇遇だね、僕もだよ」
(今夜も誘おうかな)
(今夜は僕から誘ってみるか)
奇しくも同時に似たような事を2人が思った。
***
朝の優雅な時間を過ごし、カイラとヴェルトの2人は昨晩の余韻を愉しむようにリビングのソファでくつろいでいた。
「そうだ、カイラ君覚えてるかい」
「はい?」
ヴェルトに寄り添うように隣に座っていたカイラは彼の顔を見上げる。
「お仕置きの話」
「おしおき……あっ」
カイラは辛そうに小さく声を上げた。
『今日はもうヴェルトさんのを受け入れる覚悟してきたんでいいんですけど……いつか、ヴェルトさんを女の子みたいにしたいです』
『カイラ君……次、そんな事言ったらお仕置きするよ?』
『嫌ですぅ……♡ 僕だってっ♡ 僕だっておちんち……あ゛あ゛あ゛~~~~ッッ♡♡』
『体に、んっ、教え込んであげる。カイラは下になるのが大好きな子なんだって……あと、またワガママ言ったから、お仕置き確定ね』
「カイラ君あのさ、もしかしてとは思うんだけど……お仕置きされる為にワザと言ったのかい?」
「違います!」とカイラは激しく否定し首を横に振る。
「本当かなぁ……まぁ、そういう事にしておいてあげるよ。という事でカイラ君、射精禁止ね」
『射精禁止』。たった4文字の言葉を耳にしたカイラは次第に泣きそうな表情になる。
「嫌……嫌です」
「前にもやったけど、結局カイラ君にとってはこれが1番辛いもんね?」
「あの、期間は……?」
ヴェルトは顎に手を当て考える。
「僕の気が済むまで」
「~~~~!?」
あまりに曖昧な返答にカイラは目を点にする。
「あっ、あのっ……せめて今日射精させてもらえませんか?」
もはや抵抗しても無駄だと今までの経験から悟っているカイラは、ヴェルトに縋り寄り彼の目を見つめて懇願する。
「昨日気持ち良さそうに射精してたでしょ? ダメだよ」
しかしその僅かな願いすら一蹴されてしまい、カイラは更に表情を歪める。
「期間中も後ろは可愛がってあげるから安心しなよ。ね?」
「それって余計辛そうなんですが」
「じゃあ後ろも禁止する?」
「……嫌です」
素直なカイラを可愛らしく思い、ヴェルトは破顔する。
「じゃあ……今夜もシようか?」
さりげない誘い文句にカイラの体が熱を帯び始めてゆくのを、ヴェルトは寝巻き越しに感じる。
「……はい」
蚊の鳴くような声でカイラはそう返した。
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