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夢の中で
今回は最序盤にガゼリオとカイラの性行為のシーンが挿入されています。ご注意ください。
***
恐らくここはラブホテルの一室。清潔に保たれたダブルベッドの上で、2人の人間が情を重ねている。
「んぅ♡ あっ、あっ、あっ♡ きもちい……♡」
1人はさらさらとした茶髪に緑色のまんまるな瞳が可愛らしい少年カイラ。
彼は今、うつ伏せで尻だけを上げた状態で、チョコレートよりも甘い快楽に耽っていた。
美しい曲線を描いて時折ヒクヒクと切なそうに震える少年の背を見下ろしながら腰を打ち付けているのは、ヴェルトではない。
魔力のせいで一房だけ黒に変色した赤毛に、燃えるような赤い瞳をもつ魔法学校の教師ガゼリオである。
少し緩いカイラの窄まりに吸いつかれる己の肉茎がかつてないほど強張り、少年の中で脈を打ち続ける。
「……ッ」
雄としての悦びにガゼリオは呻き、我を忘れて更に腰を打ち付ける。
ほとんど無意識のうちに「バインド」を無詠唱で発動させ、植物のツルのような光でカイラの四肢を捕らえた。
養父にそうされているように。
無理やり相手を縛り無理やり犯す。それがガゼリオにとってのセックスだ。
「やあっ! あぁあっ♡」
突然縛られたカイラは驚き身を捩って脱出を図るが、強力な魔力の前に敗北を喫した。
(ヤバい……気持ち良い……!)
平均と比べてやや性欲が薄いらしいガゼリオも、流石に呪いをかけられた上での禁欲で堪えたのだろう。
限界を超えた屹立を、どこかの誰かさんに淫華 に変えさせられた肉壺へ。
その快感がどれほどのものか、我々には想像もできないだろう。
「はぁ……ぐっ、うぅ……っ!!」
虚な目をしたガゼリオは天井を仰ぎながら呻いた。
出したくて出したくて堪らなかったモノが尿道を遡る感覚に唸り、狂人のように少年を組み敷き手籠にする。
「イく……! 全部、全部、出る……ッ!」
「やだっ♡ やめて……せんせぇ!」
『先生』というワードにフッと我に帰ったガゼリオは腰を止めた。
「~~~~ッ!」
ガゼリオはカイラの背に顔を埋めて声にならぬ声を上げる。
精を吐き出す直前の切ない快感に襲われて狂いそうになるが、ガゼリオは教師としての矜持で何とか耐えた。
しばらく2人の疲れ切った吐息だけが部屋を支配した。
「ごめん……酷い事、しちまって」
不幸中の幸いというべきか。カイラを最後まで汚さなかった事にひとまず安心し、ようやくガゼリオは口を開いた。
「はい……でも何で僕達こんな事してるんでしょう」
頬を朱に染めながらカイラはガゼリオに訊ねた。
「知らねー。気付いた時にはもう挿入して腰振ってた。……とりあえず抜くぞ」
「は、はい」
ガゼリオはゆっくりとカイラから体を離そうと試みる。
「お、おい、あんまり締め付けんな!」
「先生がちっちゃくしてくださいよぉ!」
わあわあ言いながらようやく離れた2人は、互いに顔を見るのが恥ずかしく絶妙な距離を保ちながら背中合わせで会話を始める。
「……大丈夫か? 痛くないか?」
「はい、痛くありません」
(そりゃヴェルト のチンコ挿入るくらいなら、俺のなんて痛くねーか)
ドクン、ドクンと唸りながら天を仰ぎ続ける屹立。どうしても我慢できず、ガゼリオはカイラがこちらを見ていないのを確認して、もはや痛みすら感じるほど硬直した肉棒を握る。
しかし……不思議な事に、感触が無い。
まさか長期間の貞操帯の着用で機能が狂ったか。ならカイラとの行為の最中に感じた電撃のような快楽は何だったのか。とガゼリオは冷や汗をかく。
ガゼリオが思考しながらも自慰をしている中、カイラもまた別の事を考えていた。
(なんで僕、こんな事……しかも、なんでガゼリオ先生? ヴェルトさんにバレたら2人とも怒られる……!)
とカイラも冷や汗をかいて頭を抱え、再び沈黙が部屋を支配した。
「……なぁ、カイラ」
再び沈黙を破ったのはガゼリオだ。
「お前さ、ヴェルトと……その。付き合ってんだよな?」
「……えっ? な、なんで……?」
何故知ってるのか。とカイラは目を見開いた。
「ヴェルトから聞いたんだよ」とガゼリオは嘘を吐く。
「カイラ、お前無理してねーか? アイツの幼馴染として言うが……あの野郎。口悪いし忘れっぽいし人に興味ねーし。正直言って……アイツ、かなり悪い奴だぞ」
「知ってます」
カイラは苦笑した。
「でも……本当は優しくて、一途な所が大好きです」
「……そうかよ」
いつもポケットに忍ばせているタバコの香りが恋しくなるが、今は無い事に気付いて心中で舌打ちを打った。
その時、突然地面が揺れ始め、棚の上に置かれていた小物が落ちる。
「本来なら俺が⚪︎×⭐︎△てるはずだったのに。お前に全部◻︎⚪︎⭐︎×△◎」
「えへへ。僕、ヴェルトさんに♡↑られて立派な◻︎⭐︎△♡目指してるんです」
2人の言葉が曖昧になり、噛み合わなくなってゆく。
地震が更に大きくなり、壁に亀裂が入り家具が倒れた。
だが、2人はそれに気付かない。
「クソ、なんで◻︎↓⚪︎なんだよ。俺じゃ×♡なのかよ」
「ヴェルトさんて×⚪︎△んですよ。あんな大きい⚪︎◻︎↑→♡△…*、とても♡⚪︎◻︎↑△です!」
遂に天井にまで亀裂が入り、瓦礫が床に落ちる。
「分かんねえ……アイツの⚪︎◻︎♢×は俺だけだし、アイツの×××止めたのも俺だぞ」
「ヴェルトさんの♡↓⭐︎×になれて嬉しいです! これからも、ずっと一緒に____」
遂に天井が崩れ、2人は悲鳴すら上げず瓦礫に飲み込まれた。
***
「……ッ!」
次の瞬間。カイラは自宅のベッドで目を覚まし、辺りを忙しなく見回した。
(今のは何だったんだろ、まさか……夢?)
「カイラ君、寝過ぎだよ」
ベッドに腰掛けてカイラを見下ろしていたヴェルトは、寝ぼけ顔に微笑みかけた。
「あ……おはよう、ございます?」
「おはよう」
目覚めの口付けを落とし、ヴェルトは幸せそうに笑う。
「起こそうと思って来たんだけど、来たらすぐ目覚めてくれて助かったよ」
「はい?」
「忘れたのかい? 今日マティアスさんの所に行くんだよ」
ヴェルトの言葉にカイラは「あっ!」と声を上げた。
「急いで着替えます!」
「そうしてくれるかい? もうそろそろで文字アイツが迎えに来てくれるからさ」
のんびりとした様子のヴェルトに背を向けて、カイラは寝室を飛び出した。
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