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1−12【星×陽🌺】甘えん坊は、どっち?
<概要>
・リクエスト:あおぞら様
・カップリング:犀星×玲陽
・テイスト:甘め。ほんわか。
・その他:歌仙で玲陽が怪我しているとき。過保護犀星。
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昼の光が明かり取りの窓から、やわらかく差し込む室内。
外はもう秋の終わり。かすかに空気はひんやりとしていたが、部屋の中は静けさと甘やかな気配に満ちていた。それは、痛み止めに焚いた香の香りのせいばかりではない。
「陽、こっち向いて」
匙を持った犀星が、じりじりと近づいてくる。
「……もう、自分で食べられます」
顔を赤くして、玲陽が半ば本気で抗議する。その手には、すでに持ちかけた粥の椀。ちゃんと自分で食べる準備をしていたのに、なぜか隣から、過保護全開の幼馴染が迫ってきた。
「だが、お前、朝から咳き込んでただろ。心配なんだ」
「……平気です。もう、歩くことだってできますし」
「だが、転びそうだったじゃないか。見てて冷や汗かいた」
玲陽は、気まずそうに顔を歪めた。
「だからって、東雨どのが見ている前で、おぶることはないでしょうに……」
「緊急処置だ」
どんな処置だ。
玲陽は匙を見つめた。差し出された粥の匂いは悪くない。ほんのりと生姜と薬膳の香りがする。体は確かに少し熱っぽくて、気怠さも残っている。それでも――
「じゃあ……ひと口だけ」
「よし」
嬉しそうに犀星が微笑む。やけに誇らしげなのが気に入らないが、匙は口元へと運ばれてきた。
玲陽がそっと口を開くと、温かな粥がやわらかく舌に触れた。驚くほどやさしい味で、なんだかそれだけで眠くなってしまいそうだった。
「……熱くないか?」
「……うん」
「よかった。おまえには、辛い思いをさせたくない」
「そんな、大袈裟な」
「大袈裟じゃない」
くすぐったい空気の中で、ひと匙、またひと匙。
ふと気づくと、犀星が動かなくなっていた。匙を手にしたまま、うつらうつらと――そのまま、玲陽の膝に倒れかけてきた。
「ちょ、星?」
膝に頭を乗せられ、玲陽が慌てて呼びかける。
しかし、返事はない。
完全に寝ていた。
いつの間に……。
じっと見てみると、犀星のまつ毛が頬に影を落としていた。眠っているときは、いつもよりずっと幼く見える。けれど、その手だけは、しっかりと――
「……手、離してないし」
玲陽の右手は、犀星の手に包まれていた。寝ているくせに、意外にしっかりと握られている。
「……本当に、しかたのない人」
ぽつりと呟いて、玲陽はそっと笑った。
その指を握り返して、そっと自分の頬を寄せた。
「でも、私も相当、どうしようもないか」
甘えた声は、風に溶けて、ふたりだけの午後にしずかに消えていった。
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はい、甘くいってみました!
星ちゃんは絶対、玲陽にベタベタなはず!
いや、「はず」じゃなくて、ベタですから!
(恵)
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