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第7話
開けているハズの俺の瞳からは何も景色が入って来ない。
聴覚ですら、何も聞こえて来なかった。
塞がれた視覚と聴覚は俺自身を殺していた。
物騒だが、事実だから仕方がない。
何せ、俺の中にはもう理性の欠片も秩序も残っていなかったから。
内臓が掻き廻される行為がコレ程気持ちイイモノだと知らなかったと、俺の身体は「もっともっと」と腰を突き上げる青年に媚びていた。
気持ちイイと言う快楽の感覚だけが酷く研ぎ澄まされていて、その快楽に浸っていないと不安で心が死にそうだった。
そして、そんな姿の俺を俺じゃない俺が、鏡越しから見ていた。
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流れ落ちるこの感情が、愛情なのか、執着なのか解らないが、僕は彼をひたすら快楽の渦へ引き落としていた。
収容No.008。
ソレが彼、日本人の血を持つ黒髪の少年の名前だった。
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