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第10話

  「じゃ、おれはいらない?」 そう言って、少年は自分の必要性を失った老犬のように肩を落とした。しぶしぶと言ったように吐き出したモノを綺麗に舐めとると、彼は服を着始める。 「朝食の時間です。お皿を」 僕は淡々とした声でそう言うが、彼は一度も僕の前にお皿を出したことがなかった。彼は首を傾げて、何を言っているの?と言う顔で僕のことを見るだけだった。 僕は嘆息し、彼の机からお皿を取るとソコにパンを一つ乗せた。 そして、どうぞと言わんばかりに彼にパンが乗ったお皿を差し出すが、彼は一度もソレを受け取ったことはない。 彼の歩合は誰かに抱かれることだと書いてあったが、ココまで徹底された躾をよくしたモノだと僕はまた嘆息した。 僕は彼のベッドの上にお皿を置き、彼からさっさと退く。 そして、彼を作り出した彼の両親に些か腹を立てていた。  

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