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第19話

  明日の朝には、少年の身体も動くようになって彼は怯えるようにココから脱げ出すだろう。 僕を蔑んだ目で見ながら。 だったら、この儘、彼の手足を切って、声が出ないように口を糸で縫い付けて、僕だけしか見えないように……、 そうすればと立ち上がろうとしたら、急に彼の綴じていた目蓋が開いた。 カッと開いた彼の瞳に僕の恐ろしく厚顔が映り込み、僕はひっと息を呑む。 自身でさえ、恐ろしいと思ったのだ。 彼なら尚更恐怖するだろうと彼を見たら、彼は無表情の顔で起き上がっていた。 何も映さない瞳に僕が怖じ気付き、その場にへたり込んでしまっても、彼の表情は微動もしなかった。声も出ず、身動きも取れない僕は金縛りにあったみたいだった。 だが、彼はそんな僕を無視するようにある一つのモノにだけを見据えていた。 僕の部屋の窓から見える景色にだ。あの少年が好きだった海がソコから綺麗に見えていた。  

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