14 / 29

二人の腕の中で…

 ラザールとエリオス、二人の剛健な男たちの間に挟まれて、イリアは寝台に横たわっていた。王とその弟は、優しく、まるで本物の花を扱うかのようにイリアの肩を抱き、同時に唇を寄せてくる。ラザールとエリオス、二つの口唇と、イリアのそれが同時に重なり、舌が触れ合って、広間中に淫靡な音が響き渡る。性脈の開かれたイリアの根は、ただそれだけで達してしまいそうなほど、先端から蜜を溢れ出させていた。 「何と可愛らしい。もうこんなにここを濡らして」  エリオスが目ざとくそれを見つけ、そっと衣服の上からイリアのそれを愛撫する。 「あっ…はあ…んん…!」  指で少し触れられただけだというのに、イリアは身体を弓なりに反らせて、反応してしまう。勝手に腰が動き、もっと、もっとと刺激を求めてエリオスの指先を求める。快楽に意識が遠のきそうになる中で、笑みを含んだエリオスの声が、耳元を掠める。 「そんなに気持ちが良いか、ならば直に触れてあげよう」  そう言われるやいなや、イリアはラザールとエリオスの手によって完全に裸に剥かれていた。衣装が宙を舞い、寝台にふわりと落ちる。まるで、イリアの持っていた最後の理性が捨て去られたかのように。イリアは、腰の中心でぴくぴくと根を震わせながら、兄弟のされるがままになっていた。いつの間にか、ラザールの手も加わり、二人の指先が蜜を溢れさせるイリアの根元と軸を柔らかく刺激する。 「っ…ん、ああ…は…っ」  寝台の上には、根から溢れた蜜が、まるで水溜まりのような染みを作っていた。二人の兄弟は、それぞれ首筋や肩、鎖骨を唇で愛撫しながら、イリアの根を刺激し、蜜を搾り取ろうとする。イリアは、どちらにどこを触れられているのか、すでに分からなくなっていた。凶暴なほどの快楽で、全身が紅に染まっていくのを感じる。 「イリア、お前は愛しい私の花だ」  ラザールが耳元でそう囁くと、すかさずエリオスがもう片方の耳に向かって甘く声を投げかけてくる。 「いや違うよ、お前は『俺たち』の花だ」  甘美な声が、まるでハーモニーのようにイリアの脳内で反響する。  ーーもうどちらでも良い。  ーー今はただ、この悦楽に身を任せていたい。  イリアは、自分が奴隷であることも、リュサとしての誇りも、そして、この島に連れて来られた経緯も全て忘れ、ただ二人の男から愛撫を受けながら、反応するだけの器と化していた。自分でも気付かぬうちに両脚が開かれ、ミフリの儀式によって開花した蕾が露わになる。そこは、まだ触れらてもいないのに、すでにとろとろに蕩けていた。イリアの脳内に、「欲しい」という自分の声が木霊する。そこに触れて、早く花を完全に開いて欲しい。 「さあ、今夜のメインディッシュだ」  そんなイリアの心の声を察したかのようにラザールがそう言うと、エリオスも頷き、二人の指がイリアの根から離れ、最も敏感な部分へと下ってくる。あらかじめ寝台に用意されていた香油の瓶に指先を浸すと、ラザールは優しく、丁寧にイリアの蕾をほぐし始めた。それに追随するように、エリオスも香油で濡らした指先でその部分を丹念に攻め始める。 「あっ…ん…ああ…っ」  イリアは、思わず大きな喘ぎ声を漏らしながら、イヤイヤをする赤子のように身体を揺さぶり、悦楽に身を浸した。冷静ではいられなかった。この島で「力」を手に入れるため、という当初の目的も、もはや肉体の中から掻き消えていた。存在するのはただ、二人の手で蕾を開いて欲しいという切実な望みだけ。両頬に口づけをしながら、兄弟はイリアのそこを、時に優しく、時に激しく愛撫し続ける。  ーーどうしよう、俺、もう達してしまいそうだ…  腹の上で跳ねる根が、イリアの欲望が最大限に膨らんでいることを物語っている。そんなイリアを愛おしげに見つめながら、ラザールとエリオスは自らも腰に巻いていた布を剥ぎ取り、全裸になると、寝台の上で「その体制」を整え始めた。エリオスがイリアの両脚を抱え、ラザールがイリアの上に覆いかぶさってくる。想像していた通り、ラザールもエリオスも、その鍛えられた肉体に釣り合うだけの逞しい根を腰の中心に兼ね備えていた。  ーー来る…  イリアは、自分が感じているものが恐怖なのか愉悦なのかも分からないまま、エリオスに両脚を開かれた屈辱的な体制のまま、その瞬間を待った。やがて、王とイリアの肉体が一つに結びつけられると、イリアは気を失いそうになるほどの快楽に襲われた。王が腰を振る度、何度も何度も、甘美な刺激がまるで砂浜を洗う波のように、イリアの全身に押し寄せる。 「ああ、イリア…。イリア…、素晴らしい心地だ」  ラザールは、王としての威厳を保ったまま、イリアを自らの根で支配していた。その瞬間、イリアは悟った。やはりこの島では、花は彼らに愛でられるためのものなのだ。たとえどんな「力」を持ったとしても、その関係性が覆ることはない、と。 「兄さん、次は僕に…」  やがてラザールがイリアの中で果てると、今度はエリオスが同じように自らの根をイリアの蕾に沈めた。王と負けず劣らず逞しい根が、イリアの蕾の内側を快楽で揺さぶる。  その夜、イリアは自分が完全に敗北したことを理解した。いや、すでに勝ち負けなど決まっていたのだ。この箱庭に連れて来られた段階で、自分は「花」として彼らに咲かせられ、組み敷かれ、貪られる運命だったのだ。そんなことが何故今まで分からなかったのだろう。  しかしイリアは、兄弟にかわるがわる愛されながら、自分の中のどこかが充足していることもまた知っていた。その夜、イリアは何度も達し、何度も貫かれ、何度も優しい愛撫を受けた。  ーー選ぶことなどできない。俺はただ、寵愛されるだけだ。彼らの思うがままに。  イリアの本能が、自分自身にそう告げる声を、遠のいていく意識の中で確かに聴いた気がしたーー

ともだちにシェアしよう!