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第一章 第20話 城の秘密-1
エドガーが王都に戻ってきたことで派閥が3つに増えた。第一王子のユリウス派。第二王子のラドゥ派。そして我らがエドガー派だ。重臣たちの顔もおおよそ覚えることが出来た。不穏な空気を纏ってるやつは今後接触してみるつもりだ。
フォキシーにも気になる数人の重臣達を探ってもらうようにエドガーから頼んでもらっている。これで取り巻き達のあぶり出しも進むだろう。
「ねえ。さっき謁見の間に行くときに通った場所にもう一度行かない?」
「なんだ? なんか気になるもんでもあるのか?」
「うん。あの竜のモチーフなんだけどさ。魔力に反応して文字が出てたじゃない?」
「え? そんなもん見たことねえぜ! 」
光の角度によって竜が浮かび上がる壁や柱に手を添えると象形文字が浮かび上がってくる。
クロードが柱に手を当てた時に僕は文字が浮かぶことに気づいたんだ。
「これ……模様じゃなかったのか?」
「模様って。僕には読めるんだけど……あれ? なんで読めるんだろう?」
「まさか竜の文字ではないですか?」クロードが驚いた表情で僕を見てくる。
「竜の文字? 親父が竜騎士だからかな? でもなんでアキトが竜の文字が読めるんだ?」
「わかんない。いやきっと僕が竜に関係してるという事なのかな」
……僕はそろそろ僕自身について向き合わないといけない時期なのだろうか。
「とにかくまずは探ろう。エドガーもクロードも壁に手を当てて文字が浮かぶか確認して行ってくれ」
「わかった。アキトは何が書いてあるか読みあげていってくれないか? 」
まさになぞなぞのようだった。
「《炎のわだつみに鎮めるる亡霊の魂よ。永遠の死を弔うのは灼熱の業火のみ》」
「《我は何も必要とせずそれ故にすべてを求めている。復活は我の為でもあるのだから》」
「《咎人の秘めるる闇なる裡の記憶を暴くこと勿れ。災いの元となるであろう》」
「《忘れるな。我々はこの地を見守っている。争いは破滅への序章》」
そして下から上に登り竜が書かれているレリーフには《道しるべはここではない。汝の頭上にある》とかかれてあった。という事はこの階の上の階に行けということなのか?
「エドガー、二階って上がれるの?」
「ああ。その横に階段があるだろう? 続きは二階か?」
僕たちは二階へ上がり白い壁や柱を探す。だが、一階と違い二階は木の扉などで雰囲気が違った。
「あれ? なんだか下と様子が違うねえ」
「そうなんだ。先代が祭り好きで、多くの来賓を呼ぶために二階に客間や大広間を作ったんだ」
先代ってことはエドガーのおじいさんなのかな? 何年も代替わりすると大切な事は忘れ去られて行ってしまうものなのだろうか。
「ふむ。改装されてるという事ですか」
クロードが顎に手を当て考え込む。とりあえず手分けして探そうと僕らは別れた。
「ただし! アキトは俺らの目が届く範囲にいるようにな! お前は魅力的過ぎるから攫 われるかもしれねえ」
「何言ってるのさ。わかったよ。ここなら見えるだろ?」
僕はクロードとエドガーの真ん中の位置に立ち、白い壁を見つけた。手を当てると象形文字が現れる。
「出たよ!えっと《封印の品は資格がある者しか見つけられない》」
文字を読んで間もなく、ふっと象形文字が書き換わった。
――――――《お前は魔女の血統か? 》
「……そうだよ」
答えた瞬間、アキトの身体は転送された。
「アキトが消えた!!!」
「嘘だろ!!!」
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