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第二章 7話 魔力の循環*-1

「おかえりなさいませ。湯殿の支度が出来ております」    エドガーの部屋に戻るとバレットが湯を沸かしてくれていた。通常は大浴場にみんなで入るのだが、この部屋だけ浴室があるのだそうだ。 「団長には王族が任命されてたからな。ところどころ王都仕様が残ってるんだろう」  エドガーはそのままバレットを下がらせた。 「今日は初日なのにいろいろあって疲れただろう?一緒に入ろうぜ」 「え?いや。別々に。その……恥ずかしいじゃんか」 「なあに赤い顔してんだよ」  ニヤニヤした顔が憎らしい。エドガーはアキトの手を引くと風呂場へ向かった。  エドガーのバカバカッ。だって今の僕は身体に熱がこもっている。さきほど食堂で皆に治癒をしたが、人数が多かったからかなり魔力を使ってしまったんだろう。その反動が来てるんだ。  失った分魔力は作られるけど、僕の身体は魔力の相性の良い精を媒介にしないと吸収できないんだ。  だからきっと一緒に風呂なんか入ると……。本当は伴侶二人と愛し合いたい。でも今クロードは黒猫の姿なんだ。そんなクロードの前でエドガーと二人で愛し合う姿を見せつけるのは嫌なんだ。 「お前の嫌がる事はしねえよ。とりあえず汗を流そうぜ」  ひょえ~。エドガー僕の心が読めるの?ほんとは僕もお風呂に浸かってリラックスしたい。 「わ……わかった。でも浴槽ではシないからな」 「はっはは。わかった、わかった。さあ入ろうぜ」 「さすが王族仕様だね」   思ったよりも浴室は広かった。浴槽も大人二人が充分足を伸ばせて入れる広さだ。 「みゃあ」  黒猫のクロも浴室に入ってきた。 「クロも一緒に入る?」  僕が笑顔で尋ねると 浴槽のふちを器用に歩きじっとエドガーを見つめている。 「なんだよ?お前見張りにきたんだな?」 「にやあ」 クロが笑ったように見えた。  だが、ふいに黒猫のクロの身体がブレたように見え、ぐにゃりと視界が揺れると引き締まった裸体が現れる!  バッシャーン!!  そのまま浴槽の中に倒れ込むと、エドガーに頭突きが直撃した。 「いってぇ!!」 「やっと戻れた!!」 「クロ!?クロード!!」 「あぁ!アキト!!抱きしめさせてください!!」  アキトはギュウっとクロードに抱きしめられて濃厚な口づけを交わされる。 「こらっ!クロ!また抜け駆けしやがって!アキトっ浴槽じゃシないんじゃなかったのかよ!」 「エドガーすみません。堪えきれなくて。」 「クロ!よかった。心配したんだよ!」 「ちょっと待て。暴れるな。湯がなくなる~」  アキトが喜んでクロに抱きつき、エドガーがそれを剥がそうとして結局お湯のほとんどがあふれて流れてしまった。 「へっくしょん!」 「ごめんごめん」 「すまない。エド」 「この石頭め!それで?体は何ともないのか?」  エドガーは頭をさすりながらクロードを横目でみる。 「あぁ。少し違和感が残るが、移転前の。以前と同じ感じだ」  そうだ、元居た世界でもクロードは深夜だけ人型に戻れていたと言っていた。  だが顔色が悪い。それにクロードに触れられるところからアキトはぞくりと甘い刺激を感じ、熱がまた上がったようだった。 「お前……それ。なんだよ!元気そうじゃねえか?」 「ん?なに?」  僕はエドガーが指差す先をみた。  そこにはクロードの雄がそそり立っていた。ひゃあ?もう臨戦態勢じゃん! 「エド。悪い。わたしはすぐにでもアキトを抱きたい。」 「ったく!人型に戻った途端にかよ?まぁその方が俺も堂々とアキトを抱けるしな」 「ぼ……僕も二人にこの熱をとって欲しい」 「アキトっ」 「その……さっき、力を使ったから……その」  顔が熱い。本当は僕もずっと抱いて欲しかったんだ。馬車に乗ってた時から。  でも抱かれるならわだかまりなく三人同じ条件で抱かれたかったんだ。 「よし!クロ!いくぞ!」  エドガーが僕を浴室から抱き上げ、寝室に行くまでにクロードが風魔法であっという間に水分を飛ばした。こういう時は本当に二人のコンビネーションは完璧だ。

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