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第二章 28話 浄化-2
「アキト!エドガーは打たないでくれ!!」
ラドゥが叫ぶと同時にアキトが光の矢を放った。
光の矢はラドゥとエドガーを貫いた。ぱああっと光を放ちラドゥの胸に吸い込まれていく。
「ぐぅううっ!」
ラドゥが地面に膝をつき倒れ込む。
「……あ?あれ?痛くないぞ」
エドガーが自分の胸の辺りをさすりながら首を傾ける。
「エド。僕は攻撃魔法は使えないんだよ」
アキトがにっこりとほほ笑んで見せる。
「え?いや、だって兄貴は……」
アキトはそのままラドゥに治癒と浄化を交互にかけはじめた。
「僕が貫いて消したのは闇の部分だよ。念のため浄化の重ねがけをしておくよ」
「エド。アキトは浄化したのですよ。ラドゥ様の中の呪いを解いたのです」
「そっか。兄貴が無事ならよかった!あ!クロっ!お前歯が戻ってるぞ!びよ~んって伸びてたのが元に戻ってる」
「え?本当ですか?闇魔法がとけた……なんですか?そのびよ~んって?牙ですよ!」
「ふふっ。こんな時でも二人は変わらないね。僕は二人を伴侶にしてよかったよ」
「アキト?ラドゥは?」
横になっていた王がゆっくりと状態を起こそうとしている。
「おやじ!いや、父上。無理するなよ」
エドガーが王の手を取り座位にし腰の辺りに枕を入れてやる。
「ラドゥさんは大丈夫ですよ。気を失ってるだけです」
「そうか。アキト、今のは癒しのチカラなのか?」
「まあ、その応用みたいなもんです。僕は人を攻撃する闇魔法が使えないんです」
「王様。ラドゥ様は恐らく内なる部分に呪いをかけられてたんじゃないでしょうか?」
「呪い?そうか。わたしはそんなことすら気づいてやれてなかったのか」
「僕はラドウさんは本来は跳躍型の魔力の持ち主だと思います」
「王様。アキトの言うとおりだと思います。ラドゥ様は本来持っている魔力ではない力も持っていた。魔物に変えるほどの禍々しい闇魔法は、よほどの魔力の持ち主か闇の部分に侵されているものにしか使えません」
「クロ。そうだとしたらラドゥさんはかなり前から呪われていたの?」
「おそらくは。長い時間をかけてじわじわと内側から浸食していったのではないかと」
「でも、王様。ラドゥさんは本当は優しい方だと思います」
「アキト。ありがとう。すべては私が悪いのだ」
「誰が悪いとかよりもこの後どうするかを考えないといけませんね」
「クロ。それはわかるけど、ラドゥさんはエドガーと僕には酷いことをしなかったんだよ」
【わたしラドゥは可愛い弟とその伴侶を守る事を誓う】
「以前僕がドリスタンって貴族に襲われたときにラドゥさんが誓ってくれたじゃない?その言葉を守ってたんだと思うよ。それに、次期王にエドガーをって思ってたんじゃないかな?」
「はあ?なんで俺が?!ユリウス兄貴がいるじゃねえか」
「そのユリウス様がコーネリアス様と共に命を落とされていたら?」
「クロ!冗談が過ぎるぞ!」
「例えばの話ですよ。そうなったら残る王家の血筋はエドしかいないでしょう?」
「まさか。そんな。ラドゥ兄貴……」
「エドガー。ラドゥにとってお前は唯一の希望だったのかもしれない。きっとラドゥは自分が王になろうとは思っていなかったに違いない」
「そんなっ。俺は王になんかなりたくねえっ!」
「エド。なりたくないならならなくてもいいよ」
「アキト……」
「ふむ。それもそうですねぇ。血統の違う者に代替わりしてもいいのではないでしょうかね?」
「そうだよ!クロの言う通り!前の世界の歴史でも、世代交代は頻繁にあったし!」
「ふはははっ!はぁ。さすがは魔女だ。まいった。我が息子の伴侶は豪快な考え方をする」
「へ?僕が豪快?そうかなぁ?」
「はは。アキト。我が王族は竜と心を交わすために何世代かごとに竜の子孫と契りを交わしていたのだ。それによって絶えず竜の血を血脈にいれるようにしていた。だが、こうまでも面と向かって否定してくるとは!面白い!」
「ん~?僕としてはまだまだ王様に現役でいて欲しいんだ。だからこれからは移転通路を使って治癒に通う事にします!」
「なんと、またわたしに治療をしてくれるというのか?」
「当たり前です!エドのお父さんは僕の義父さんでもあるんですから」
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