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-ガク-ゆらぎ①

「——ほんとごめん!ありがとな!」 ガクはバイト先で、一人の女子大生を前に頭を下げていた。 「もう、いいって! ガク君にもよくシフト代わってもらってるし! こういうのは助け合いでしょ?」 「マジ神。次会ったら美佑のこと神って呼ばせてもらうわ」 「あはは、ウケる」 ——イオリと次の約束を決めようとしたものの、当面の予定がバイトとサークルで埋まっていることが分かったガク。 サークルはサボっても良かったのだが、授業が終わってからの平日だと イオリと会えるのはどうしても遅い時間からになってしまう。 夜からだとお酒を飲むくらいしか思いつかないが、 イオリとは夜にふらっと合流して、さくっと飲めるような関係ではない。 カラオケやボウリングも、男二人きりでというのはピンと来ない。 そこで日中からイオリと会える日を作るため、毎週土日に入っているバイトのシフトを、同じバイト先の仲間である女子大生・美佑に代わってもらったのだった。 「ガク君には去年のクリスマスもシフト代わってもらったしね。 さすがにイブに代わってくれる人なんて居ないだろうなって半ば諦めていたけど…… お陰で彼氏とデートすることができて、ほんと救われたから」 「あー、そういえばあったな、そんなこと。 まあ人手不足を見越してか、クリスマスと年末年始は時給もアップするし、俺もお陰様で稼がせてもらえたわ」 ガクは美佑に重ねて礼を言うと、バイトを終えて大学の図書館に向かった。 図書館には自由に使えるパソコンが設置されている。 本来は調べ物や学習のために使うものだが、スマホのギガを少しでも節約したいガクは 勉強以外の調べ物をする時にも大学のパソコンを使わせてもらっていた。 ええと、『調布 観光 おすすめ』っと…… ふーん、深大寺ってところが有名なのか。 でも……イオリ、神社仏閣に興味あるかな? おっ。味の素スタジアム! ……イオリ、スポーツに興味あるかな? 俺はスポーツをやるのも観るのも好きだけど、イオリはそういうタイプには見えないな。 もし関心のない分野だったら、結構キツいかもな……。 へえ、隣の府中まで行くと府中競馬場があるのか。 ……って、ギャンブルはさすがにないだろ。 そもそも俺が賭けられるような金を持ってないし。 ここもナシだなあ。 ああでもない、こうでもないと考えながらネットサーフィンを続けていると、 ふとこんなキーワードが目に飛び込んできた。 『映画のまち調布』

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