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-ガク-ゆらぎ②
「映画のまち……?」
調べてみると、調布には大きな撮影所があり、映画が作られる場所として栄えた歴史があるためそう呼ばれていることが分かった。
映画か。良いかもしれないな。
普段はあまり映画を見ないガクだが、考えてみれば映画ならば定番のお出かけ先という印象もあり、外さないだろうとも思えた。
中高生の頃、何度か彼女が出来たことがあるが、お互いにお金もそれほど持っていない年頃ということもあり、デートで映画に行ったことはない。
それでも一緒に帰ったり、ただお喋りをするだけで楽しかった。
そもそも地方だったので、遊べるような場所もそれほど多くなく、彼女とお出かけしても公園や河原で会話したり、ご飯もファストフードやファミレスで済ませることがほとんどだった。
大学生になり、授業とバイトで忙しない日常を送っていることや
キャンパスにいる学生のほとんどが男子という、ほぼ男子校のような環境であることも相まって、大学に入ってからのこの一年半ほどは彼女は出来ていない。
合コンに呼ばれることもあったし、インカレサークルの飲み会で他校の女子大生と出会う機会もあったが
デートに誘われても、掛け持ちのバイトをうまく調整することが出来ず、何度も会って恋人に発展するような相手はいなかった。
けれど、イオリに対しては違う。
サークルやバイトを優先した結果疎遠になるようなことは絶対にしたくない。
しかも自分のところへ会いに来てくれるからには、適当に見つけたチェーン店に入ってダラダラするのは論外だ。
ガクは念のため、映画館で決定する前にイオリにメッセージを送った。
『土曜日。良かったら映画館に行かない?
イオリは観たいものある?』
映画がダメなら、深大寺やスタジアムも検討しよう。
汗ばむ季節だし、外が嫌だと言われたらカラオケも提案してみよう。
そんなことを考えていると、十数分後にイオリから返事が戻ってきた。
『いいよ。映画ならなんでも』
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