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-ガク-始まり④

イオリはそう言って、精一杯の表情でガクを見上げた。 少し潤んで見える瞳が、ガクのセーブしていたあらゆるものを壊していく。 イオリをふしだらだなんて思ったことない。 ないけれど。 「ふしだらでいてよ——俺といる時は」 ガクは靴を脱ぐと、同じく靴を脱いで向きを整えたイオリの手を引き、部屋の中へ招き入れた。 1LDKの、決して広いとは言えない間取りの奥に置かれたシングルベッド。 自分以外乗ったことのないベッドに、ガクはイオリを招き入れた。 イオリのシャツに手を掛けていく。 外の気温のせいか、先程までのキスが原因なのか、しっとりと汗ばんだイオリのシャツを脱がせると、白い肌が露わになる。 イオリのお腹には、まだ傷跡が残っていた。 けれど五年前に見た時より、それらの痕は薄くなったようにも感じる。 実家を出て、雪宮家で暮らすようになってからは体罰を受ける機会も減っていたのだろうと、ガクは少し安堵した。 その中に、『前世の自分』がつけた痕を見つけた。 ガクはイオリの背中を抱き抱えながらベッドの上に仰向けにさせると、お腹に残る痕に口付けた。 「あ——」 イオリから短い声が漏れる。 こんな声を聞けることも、もう無いかもしれないと思っていた。 嬉しい—— 「……ああっ……!」 ガクがイオリのお腹に舌を這わせると、イオリから艶のある声が鳴った。 もっと聞きたい。 イオリのそういう声、もっと聞かせて。 ガクは夢中で舐めながらも、時折頭を上げてイオリの顔を見た。 恥ずかしそうに口元を覆いながら、ぎゅっと瞼を閉じるイオリの表情が、愛らしくてたまらなかった。 「——ひっ」 ガクの舌先が胸元に触れると、イオリはびくりと身体を震わせた。 「ん……んぅ……」 必死で声を抑えようとしているのが可愛くて、可愛くて、ガクは何度もそこを責めた。 「ガ、ク……」 イオリは悶えながらも、必死に口を開き、ガクの名を呼んだ。 「ガクも……脱いでよ……。 僕ばっかり……恥ずかしい——」 ガクは、イオリに夢中になるあまり、自分が服を着たままだったことにようやく気がついた。 やや雑に、着ていたシャツを脱ぎ捨てると、下着まで全て脱いでいった。 その隣で、イオリも自身の腰のベルトに手を掛ける。 「……あ」 イオリはズボンを下ろそうとして、顔を青ざめた。 「どうしたの?」 「……」 ガクが聞いても返事をしないため、イオリが見つめている先に視線をやると、イオリの下着が濡れていた。 「……もしかして、ちょっと出ちゃった?」 「ごめんなさ——」 咄嗟に謝ろうとするイオリの口を、ガクの唇が塞いだ。 「謝んないで。下着なんて、後で洗濯機に投げ込めばいい」 イオリがコク、コクと頷くと、ガクはイオリの下着に手を掛けた。 イオリは腰を浮かせて、ガクが下着を降ろしていくのを見ていた。 「まだ勃ってる」 ガクはベッドの上でイオリと向かい合って座り、イオリの下腹部を見て言った。 イオリが恥ずかしそうに目を逸らすと、 「俺も勃ってるよ」と言ってガクが微笑んだ。 「先にこっち出しちゃおうか」 そう言ってガクは対面で距離を詰め、自分のものとイオリのそれを同時に片手で握った。 「あ……ぁ」 イオリは顔を真っ赤にしながらも、お互いのものがぴったりとくっついている場所に目をやった。 「一緒に同じところ、気持ち良くなろ?」 ガクはそう言うと、二人分を掴んだまま上下に動かした。 「っ……!!」 イオリは声にならない声を上げ、奥歯を噛み締めた。

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