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第10話◇桃川春季⑧

 春季は、この後のことを考えてぼうっとしていた。ドキドキはもちろんしているのだが、現実感がなくてフワフワした感覚でいたのだ。 「桃川、お待たせ。どうした? ぼんやりして」 「あっ! ごめん、霧島。なんだか現実感がなくて……」 「そうか。こっちにおいで」  蓮が春季を呼ぶと、素直に近づいて行った。背中に手を添えられると寝室に向かった。途端に春季は現実味を帯びてくる。ドクンと大きく心臓が鳴った。ベッドに座った蓮が、春季の腕を引っ張る。 「うわっ!」  春季はポスンと、蓮の膝の上に乗った。慌てる春季を、蓮は両腕で甘く拘束してしまう。身近で蓮の体温を感じて、春季は腕の中で大人しくなった。 「桃川」 「ん……」  呼ばれて蓮を見ようとしたが、それより先に唇を奪われた。軽く噛むように春季の唇を味わった蓮は、そっと離れると、春季と額を合わせて微笑んだ。 「なぁ、。二人きりの時は俺のことを蓮って呼んでくれないか」 「あ……。れ、蓮」 「春季……」  再び、チュ、チュと蓮は春季の唇に吸い付く。春季は無意識に蓮の首に腕を回して、もっともっと、と強請るように顔を寄せる。蓮は喉の奥で笑うと、春季の唇に指を滑らせた。 「なぁ、春季からのキスが欲しい」 「ん♡」  春季は言われた通りに、顔を寄せて蓮の形の良い唇にフニッと触れるだけのキスをした。 「ん、いい子。ほら、今度は少し口を開いて……」 「ふあっ♡ んん♡」  春季の開いた口腔に、蓮の舌が侵入してきた。上顎を擽られて春季は、甘い快感にトロリと意識が溶けてきた。その隙に蓮は、スウェットの裾から春季の素肌を撫でさする。下から上へいやらしく触れられて、春季の身体は熱く火照ってくる。その時、快感で勃起していたちくびを掠めていくと、春季は甘い声をあげた。 「あんっ♡」 「春季、脱いで」 「うん……」  そう言うと、脱いだついでにベッドの真ん中に移動して横たわる。蓮も上半身裸になっていた。春季はあの夜のことを思い出して堪らない気持ちになると、蓮におねだりした。 「れん、さわって?」 「春季……ホントに可愛い」 「ひゃうん♡」  蓮が春季のちくびを弄りながら、首筋をツゥッと舌先で辿り鎖骨を甘噛みする。ジュッと強く吸い付かれるとツキンと痛みを感じたが、蓮が満足気にソコを見てちくびに舌を這わせると、春季は声が止まらなくなった。 「あ、あん♡ ん♡」 「舐めるのと、カリカリされるのどっちが好き?」 「やんっ♡ どっちもすきっ♡」 「春季は素直で可愛いな。ほら、どっちもしてやる」 「ぁあんっ♡」  愛撫でぷっくりと赤くなってしまった春季のちくびは花の蕾のようにふっくらと育っている。それを愛おしげに眺める蓮は、春季にもその変化を見るように言った。  春季が見たちくびは普段とは違って、真っ赤に熟れていやらしい。完全に性感帯として蓮に作り替えられてしまった。でも、嫌じゃない。春季は蓮に染められていく自分に興奮してしまう。もっと、この快感の続きを求めてしまう。  パンツの中で、春季のちんこは窮屈そうにしていて、解放を求めていた。 「れん……ココさわって♡」 「……ああ、こんなにしてたのか。ちくびに夢中で気づくの遅れてごめんな」  蓮はそう言うと、スウェットとパンツを一気に引き抜いた。 「あっ♡」 「春季のちんこは綺麗な色をしてるな」 「あ、あ、あん♡」  すでに先走りの汁を垂らす春季のちんこを軽く扱かれると、クチュクチュといやらしい音がする。裏筋を責められて、春季は甘い声をあげた。  蓮は、快感に溶けた春季の顔を灼けつくような視線で見つめて、目を離さない。タマがせり上ってきてイキそうになると、手を緩めて阻止する。クパクパとしている鈴口を親指で擦られて、春季はポロリと涙を零して蓮にすがった。 「イかせてっ! おねがいだからぁっ!」 「よく言えたな。えらいぞ春季」  蓮にそう褒められたあと、ラストスパートをかけられる。 「あっ♡ あっ♡ イクッ♡ ───ッ♡」  イク寸前、ちくびを強く摘まれてその衝撃で腰が浮き上がる。尿道をせり上って大量の濃い精液が胸元に飛び散った。バクバクと心臓が大きく脈を打つ。かつてない快感を伴った吐精の余韻で、ぐったりしてる春季の両脚を蓮は大きく広げた。 「ああ……春季は、アナルも綺麗なピンク色をしてるんだな」  熱に浮かれたように蓮は言うと、春季の胸元に散っている精液を指にまとい、アナルに擦り付けた。 「ひゃんっ! 蓮っ! ナニ?」 「コッチも慣らさないといけないだろ?」 「あ……」  春季は蓮の言葉で、このさきの行為で蓮とひとつになれることに思い至った。 「オレ、初めてだから、優しくしてね」 「クソッ! ホントに可愛いな!」  蓮はそう言うと春季の内腿に強く吸い付いた。 「うっ♡」 「俺だけ受け入れろ、春季」 「うん、蓮だけ」  蓮の執着を感じるセリフに、春季は胸がいっぱいになる。  感極まって、少しだけ震えた春季の返事を聞いた蓮は、春季の唇にキスをひとつ落とした。枕の下に隠してあった新品のローションを手にすると、再び春季の後孔を解しにかかるのだった。            

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