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第二部 第八話 うさぎの誘惑※R18
※R18表現有
「そういえばこの前会合の後、親父たちバニーガールの店行ったらしいっすよ」
「……へ?」
悠は聞き慣れぬ言葉に、ぽかんと口を開けた。
確かこの前の会合と言ったら、凜と龍一が親戚関係のような組とすると行っていたはずだ。それが、何故バニーガールがいる店に?
「何でも相手方のやつらがそういうの大好きで、夜通しその店で遊んだとか」
「……それ、凜もですよね……?」
そういえば帰りが遅い日があって、ごめんねと謝られたのを覚えている。
「あ、はいカシラも──」
「馬鹿館山っ! 悠さんにそういうこと言うな!」
酒井がゴン、と館山の頭に拳骨を叩き込む。
「バニー……」
凜も、そういうものが好きなのだろうか。いや健全な男子ならそういったことが好きなのは普通だが、それにしても、バニーガールとは。
「悠さん、気にすんなっ! 凜さんは悠さんひと筋だから! どうせ行ったのも付き合いだろうし!」
「…………」
ぺたん、と平たい自分の胸に手を当てる。どう考えたって、バニーガールのお姉さんのような色気はない。
「……凜……」
漏れてしまった声は、思ったより悲しさを含んでいて。
「館山ゴラァっ! 悠さん落ち込ませたら怒られんの俺なんだよ!」
「痛、痛いっす兄貴!」
酒井が館山をボコボコにしているのも視界に入らず、悠はずっと思考を巡らせていた。
ベッドの上で口づけを交わす。吐息の混じったそれを何度も重ねて、互いの体温を分け合っていく。
「ん、ぅ……」
「っはは、ユウちゃんかわい。ちゅー気持ちいいね?」
凜はするりと悠の身体に手を這わせる。それがTシャツを脱がそうとした時、悠はぼんやりとしていた意識を総動員させた。
「っ、あ、あのさ凜、今日、ちょっとやってみたいことがあって……」
「ん? なぁに? ユウちゃんがそんなこと言うの初めてじゃない? 何したいの?」
「り、凜を……誘惑、してみたい」
顔を真っ赤にしながらそう言うと、凜はくすっと笑みを零した。
「誘惑? 何してくれるの? 楽しみだなあ」
「その、準備するから……ちょっと待っててくれるか」
「うん、いーよ」
一度ベッドから降りて、『準備』をしに自室へ向かう。寝室を出る直前、凜の方を振り向いて、保険をかけた。
「わ、笑うなよ!」
「だいじょーぶ、笑わないから」
寝室のドアを閉める。心臓がこれまでにないほどうるさい。
「……すー……はー……」
大きく深呼吸をしてから、悠は一歩を踏み出した。
そして、十分後。
「……り、凜」
寝室のドア越しに彼を呼びかける。
「はぁーい? ずいぶん時間かかったね?」
「その、準備はできたんだけど……えっと……」
「なんだよー、あんまり焦らさないで?」
「っ……思ったより、変で……気持ち悪かったら、ごめんっ!」
謝罪を口にしながらドアを思いっきり開ける。悠の姿を見た凜は、笑顔のまま硬直した。
「……ユウちゃん、そのかっこ……」
悠が身に纏っているのは、バニーガールの衣装だった。だがそれは通常のバニーガールの衣装ではない。
本来のバニーの露出部分と服の部分が逆になったもの──巷では、逆バニーと言われるものだった。
凜がそういう店に行ったと聞いて、どうしようもなく嫉妬をして、自分にだってできるとムキになった。ネットで衣装を見つけている時、『より刺激を求めるなら』のキャッチコピーに惹かれて、ついこちらを選んでしまったのだ。
「凜がっ……バニーガールのお姉さんがいる店行ったって聞いて、そのっ……ま、負けたくなくて……」
だがよくよく考えれば、いや考えなくても豊満な身体の女性のそれと、貧相な男の身体の悠では勝負にすらならない。情けなさと恥ずかしさで、両手で身体を隠した。
「…………」
凜は無言だ。やはり成人男性のバニーガール姿はきつかっただろうか。こんなことなら勢いで買うんじゃなかった。
「ごめんっ! やっぱすぐに着替えてっ……」
「やだ。こっち来て」
凜はにっこりと笑って、両手を広げて悠を受け止める姿勢を作る。ゆっくりと近づいて彼の上に乗ると、何も布を纏っていない腰を撫でられた。
「すっげーかわいい。えっちなかっこで、俺のこと誘惑しようと思ったの?」
「うん……けど、に、似合ってない、よな……」
「んー? 超似合ってる。こーんなえっちでかわいいウサギさん、他にいないよ」
凜はひどく満足そうだ。どうやら死ぬほど恥ずかしい恰好は彼のお気に召したらしい。
「おれがバニーガール好きだって思ったの?」
「だって、夜通し遊んだって聞いたから……」
「それはお付き合い。おれはユウちゃんしか見てないよ。でも、ユウちゃんがえっちなかっこしてくれるのは大歓迎」
凜が胸元のハート型のニップレスをかりりと爪で引っ掻く。
「ぁんっ……!」
「これえろすぎてやばいね」
何度も頂を爪で弾かれると、ぷっくりとそこが興奮を主張してくる。盛り上がったそこから、ニップレスが肌から離れていく。
「っぁ、ぅんっ……! りん、胸いじっちゃだめっ……!」
「だめ? こんなに気持ちよさそーにしてるのに、だめなの? ほら、もうハート取れちゃうよ」
「あ……!」
粘着力の弱いそれが、ぺろりと剥がれてピンと立ち上がった頂を晒す。
「もう立ってる。かーわいっ」
凜は舌なめずりをしてから、ぱくりと右胸に吸いついた。舌先で先端をちろちろと舐められて、甘い痺れが腰にずくりと響く。
「あっ! んァっあッ、ぁ、んーっ……!」
左胸は指で擦りこむように愛撫され、右胸は舌で先端をいじられ続ける。ふたつの快楽に、触られてもいない性器がひくひくと反応してしまった。
「ふぁっ……! ひっあ、あんっ……! っ、は、ぅ……」
「ウサギさん、えっちでかわいー……。たまんないなあ……」
「っ、ぁんっ!」
じゅっ、とひときわ強く頂を吸われて、甘い悲鳴が漏れる。
「ね、ウサギさん、胸気持ちい? 腰揺れててかわいいなあ」
「ぅぁ、っ……り、んっ……」
凜が形を確かめるように尻をなぞりあげる。その拍子に、ふさりと白い尻尾が彼の手に触れた。
「……ん? ねえユウちゃん」
「っ……な、に……?」
「この尻尾、どうやってつけてるの?」
「そ、それ、は……」
届いてから知ったその構造を口に出すのは恥ずかしくて、彼の手を尻尾に導く。
「……ディルドがついてて、その……中に、入れてる……」
最初に見た時、ふわふわの尻尾に男性器を模したものがついているのには悲鳴を上げそうになった。アダルトグッズを挿入しながら彼の前に姿を晒すのは、本当に恥ずかしくて死ぬかと思った。
「……マジで?」
凜が尻尾の根元を掴んで、ずるりとディルドを引く。
「あっ、! あッああっ! ひぁっ、ああぁっ……!」
内壁を擦られて、喘ぎ声が抑えられない。凜の胸に必死に縋りながら、与えられる快楽に必死に耐える。
「やば……これ、ひとりで入れたの?」
「っ、う、んっ……」
「今日のユウちゃん、えろすぎてやばい……今の見てるだけでイきそう……」
「ひぅんっ! んぁ、あッン!」
ちゅぽん、とディルドが全て引き抜かれて、疑似的な肉棒を失った後孔がひくひくとうごめく。
正直、自分でディルドを入れた時から、胎の疼きがずっと続いている。
「りんっ……さみしいっ……も、ほしい……」
「うんうん、ウサギさんはさみしがり屋さんだもんね? じゃあさ、このままウサギさんが上に乗るのと、下になって突かれるの、どっちがいい?」
「っ……」
堪えきれなくて、凜のズボンのベルトを指でかりかりと引っ掻く。早く、これが欲しい。
「下が、いいっ……いっぱい突いて、イかせてっ……」
「あは、りょーかい」
凜は流れるような手つきで悠を押し倒して、ベルトをゆっくりと解く。それが待ちきれなくて、何度もベルトの金具を引っ掻いた。
「ウサギさん、ちょっと待って? すぐいれてあげるから」
「っ、や、待てないっ……」
「もー、ほんとかわいいなあ。発情期になっちゃった?」
取り出された凜の屹立は、腹につきそうなほどに反り立っていた。それに慣れた手つきで避妊具が取り付けられて、悠は足をぐいと割り開かされる。
「あっ……」
Tバックからははしたなく興奮した性器の先端が出ていて、後ろはほとんど何も隠せていない。後孔を明かりの下に晒されて、恥ずかしさで胸がいっぱいになる。
「下着の意味なくない? ほんっとえろ……」
黒のそれを少しずらされれば、そこには男を求めて疼いているいやらしい秘所。そこに屹立を押し当てられただけで、胎がきゅうと疼いた。
「りんっ、早くっ……!」
「わかってる、って!」
ずぶん、と男の欲望が一気に挿入される。待ち望んでいた熱に、身体が歓喜の声を上げた。
「あ、あああ────っ! ッんァっ、んぁあっ! ひっあ、あンっ!」
「っ、は……中すっごいひくひくしてるっ……」
「ぁぁっ、あんぅっ! んァっ、ンぅっ……!ひっ、あ!」
水音と肌のぶつかる卑猥な音が寝室を満たす。悠はニーハイソックスを纏った足をぴんと宙に浮かせて、快楽の海へと溺れていく。
「ぁッあ、あ、あ、っぁ!」
「ウサぎさん、さみしいさみしいって甘えてくるねっ……」
「ひぅっ! んァっ、あぁっうあッ! っは、あっ!」
内壁はようやく与えられた熱を逃すまいときゅうきゅうと屹立を締めつける。奥をこつこつと突かれると、溢れる悲鳴がいっそう高くなった。
「おく、だめぇっ……! すぐイっちゃ、ぁ、ひぁんっ! あンっ、ああっ! ひぅっ、んぁぁっ……!」
「うん、ウサギさんは奥こつこつ~ってされるの大好きだもんね?」
疼き続けていた奥を責められて、腰がびくびくと生き物のように跳ねる。
「イく、イっちゃうっ……! りん、ぁ、イく、イくっ……! ぁッぁ、あッ、ぁぁっあっ!」
「うん、かわいーウサギさんがイくとこ、見せて?」
「ぁ、あ────!」
Tバックから覗く性器から、びゅくりと白が零れる。おとずれた絶頂に震えていると、屹立がどちゅんっ! と奥を貫いた。
「ひぅっ!? り、いま、イってるからぁっ……!」
「ウサギさんはイってるところ突かれるの好きでしょ? こうやって何回も、さ!」
「ふぁっ!? あっ、んぅっあっ、うあっ! あ、あ、あ!」
達して敏感になった内壁を愛されて、終わりのない快楽に襲われる。休む間もなく屹立が最奥に到達して、腰の奥から気が狂ってしまいそうなほどの快感が与えられた。
「やぅ、また、イくっ……! 出ちゃうっ……! あッひぅっ、ぁっああっ、あんっ!」
けれど、それがただの絶頂でないことは感覚でわかってしまった。きっと悠は──。
「りんっ、しお、ふいちゃうっ……! でちゃ、うぅっ……!」
「かぁわいいっ……いいよウサギさん、いっぱいびゅーびゅーしよ? おれもそろそろっ……」
「あッあんぁっ! あっ、ひ、んぅっ、ぁっあっ! っでる、ぁ、ぁあっ、あ────!」
「っ、は……!」
ぷしゅ、ぷしゃっという音を立てて透明な液体が溢れた。それはシーツをぐっしょりと濡らしていき、悠の腹をも濡らしていく。甘やかな死に浸っていると、避妊具越しに欲望が注ぎ込まれた。
「っはー……はぁっ……」
「はっ、は……」
必死に酸素を取り込もうと荒い息で呼吸する。ずるりと屹立が引き抜かれて、その感覚だけでまた甘い声が漏れた。
「ね、ウサギさん?」
凜は燃え尽きぬ情欲を、赤の瞳に宿していて。
「ウサギさんは発情期だから、一回じゃ足りないよね?」
精液の溜まった避妊具を捨て、新品のそれをまた屹立に被せた。
「っ……うん……足り、ない……」
悠は体勢を変えて、両手をつく。尻を高く上げて、また欲望を突き立てられるのを待っているそれを晒した。
「あは、次はバックでガンガン突いて欲しい? いーよ、いっぱいしよっか」
「は、ぁんっ! ぅっぁ、あッ、あっぁっあっ!」
男の熱が再び与えられ、嬌声が甲高く響く。狼のような獰猛な男との耽溺の夜は、まだ終わりそうもなかった。
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