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第21話 君を呼ぶ声

 どこまでも澄んだ青い空。もうそこにセンティスの影はない。俺達はその青空の下、手を繋いで歩いてた。  アサギが戻ってから今日で半年だ。結局あの後皆が捜しに来る前に倒れちゃったアサギは、体力が戻らなくて昨日までベッドでの生活だったからすごく嬉しそう。  その笑顔を見て実感する。あの日一度失ったと思った大切な存在はちゃんとここにいる。 「いい天気ですね」 「そうだね」  しかも長閑だ。  この半年、変わったことと言えば俺は傭兵を辞めた。今はステュクスの外れに家を建てて暮らしてる。親父は、同じ都市に住むならうちに住んでよ!って駄々こねたけど絶対ヤダ。煩いもん。  それからアオと、ユウって名前になった二度目の子。夕焼け空のユウ、なんだって。  アオとユウはある日突然人間の姿を真似るようになった。俺が抱きつく姿を見てその方がアサギに甘えやすいって思ったらしい。魔力で姿を変えてるだけだから、魔力が足りないときは元の姿に戻っちゃうけど。最初はちゃんと喋れなかったけど、最近は言葉も覚えて毎日大騒ぎだ。  カナさんも俺と同じく傭兵辞めたし、お兄ちゃんは親父の屋敷で働いてる。アサギの言った通りお兄ちゃんは優秀で、物腰も柔らかいから兄貴の補佐に抜擢された。  カナさんは警備兵しながらヤキモキしてる。兄貴、ちゃんと恋人いるから大丈夫なのに。でも余裕ないカナさんが面白いからもうしばらく傍観しとこうと思う。  ケイとセンは落ち着いた頃にティルニソスに戻って行った。忘れてたけど宿代踏み倒してるし……、それに二人は傭兵続けるんだって。故郷に戻る気はないらしい。  師匠とユキさんは旅に出た。ヒトハのその後とかちゃんと面倒見なきゃいけないし、受け入れ拒否してた都市の説得もしに行かないといけないから。  でも星を救ったのがヒトハだって噂はもう広まってるから最初よりはマシになってるかもね。 「ママー!パパー!!」  先に進んだ所でアオとユウが手を振ってる。手を振り返したアサギが俺を見上げた。 「……ソラ、僕……幸せです」  ソラがいて、アオがいて、ユウがいる。たまに会いに来るお兄ちゃんも幸せそうで。柔らかく微笑むアサギが綺麗で可愛くて、俺もだよ、って言いながらキスをした。 「あー!ズルい!!アオも!アオもママとチューする!」 「ユウにもしてください!」 「ダメ!ママのチューは俺だけの!」 「ズルいー!」 「ズルいですー!」  アサギの明るい笑い声が響いた。  君がそうやって笑ってくれるなら、ずっと側で君を呼ぶから。 ■■■ 最後までお付き合いありがとうございました。 次からは番外編となります。

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