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第10話
「っぐ……やた、くんっ……!」
「なんですか、まさかもう限界とか?」
イったばかりで敏感な身体の、一番弱いところを無遠慮にかき混ぜられた部長はぎくりとしたが、首を大きく横に振る。
「じゃあまだ頑張れますよね、そもそも誘ったのは部長ですし」
それは確かにそうだけど、意外とSな上にこんなに持続力があるなんて聞いていない。と文句を言いたくなった部長だったが、それを口にするだけで彼を煽る結果になるのは目に見えていたため、与えられる快楽に意識が飛ばないようにただ耐えるしかなかった。
矢田の動きで揺れる視界の中、ちらと彼の方を見ると、やはり自分好みの顔つきをしている。少し切れ長な色の薄い瞳が、行為で乱れた前髪の間から見え隠れする。
視線をその下に滑らせると、白い首筋に彼の秘密を暴く原因となったホクロが二つ綺麗に並んでいた。
不意にそこに触れたくなり、ゆるゆると腕を伸ばすとそれに気づいた矢田に手首を掴まれた。
「あれ、結構余裕そうですね……ちょっと物足りなかったですか?」
手首を掴んだまま律動を強めた矢田に、部長は喘ぎ混じりの反論をした。
「ち、がうっ……君のホクロ、本当に綺麗で……えっ……!」
「ああこれ……そうですよね。このホクロが好きすぎて、俺をあんなアプリで見つけるぐらいガン見してたってことですもんね?」
楽しそうに手の甲に口づけた矢田は、どちゅん、と部長の弱いところを突き上げる。目の前にちかちかと光が散った部長は、ホクロと矢田の顔を交互に眺めていた。
「ホクロだけじゃなくて、顔もきれいだよねえ……矢田くん」
「は?なんですか急に」
「――本当に、僕好みだ」
「……煽ってるんですか」
「うん、そうだよ?」
情欲に塗れながらも笑みを崩さない部長を見て、矢田の背筋に冷たいものが走る。
――本当に、この人は――どこまで――
どこまでが演技でどこまでが本気かわからない目の前の男の表情を本当の快楽で歪ませて、堕としたい。
ふー、と柄でもない深呼吸をして、陰茎をカリ部分が抜けるまで引き抜く。
不思議そうな顔をする部長の目を見ながら奥の奥まで一気に押し込むと、彼は目を白黒させながら「あ゙ッ」という悲鳴にも似た喘ぎ声を出した。
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