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第11話

 その声を聞いた矢田は、薄く口角を上げる。  最初はそんな気さらさらなかったが、このまま彼を俺が与える気持ちよさで壊して――それで、俺の―― 「ッ……?」 「矢田、くん?」 「……いえ、なんでもないです」  一瞬浮かんだ考えを振り払うように髪をかき上げると、腰をぐいと押し込む。先ほどまではまだ固く閉ざされていたが、一度絶頂を迎えた部長の奥は柔らかくなっていた。  ようやく矢田の意図に気づいた部長は、焦って彼を引き剥がそうと胸元に手を添えたが、前立腺をカリで押されたせいで身体が反応してしまい、それどころではなくなってしまった。 「ちょ、やたくん、それ以上は無理――」 「え?そうやって言ってますけどちょーっとだけ期待してますよね、部長」  いいから黙って俺に壊されてくださいよ、と爽やかさすら残る微笑みを見せた矢田の目は肉食獣のようにぎらついていて、それに射止められた部長は大人しく従うしかなかった。  ぐり、ぐりと扉を押し開けるように部長の腹の行き止まり部分に先端を当てていると、やだやだと言っている部長の言葉とは裏腹に、矢田を歓迎するようにその部分がとろりと開く。  今だ、と言わんばかりに矢田が腰に力を入れると、ぐぽん、という感触とともに亀頭のすべてが部長の一番奥へと飲み込まれていった。 「――ッ!」 「うっ……ぶちょ、締めすぎ……」  目を大きく見開いて、思い切り腰を浮かせた部長に矢田の声は届いておらず、彼が快楽に堕ちたのは誰の目にも明らかだった。  そのまま何度かぐちゅり、ぬちゃりと濡れた音を立てながら出し入れさせると、その快楽の強さからか部長の陰茎から透明でさらさらとした液体がピストンの度に噴き出ていた。 「はは、ハメ潮とかエロすぎるでしょ……」 「や、たくん……これ、ら、めっ……」 「駄目じゃあないですよね、(ゆずる)さん」 「は、なんで、なまえっ……!」 「うーん、ご褒美?みたいな感じですかね」  社員証に書かれていた部長の名前をなんとか思いだした甲斐があったようで、下の名前を呼んだ途端に部長の粘膜が矢田の陰茎をきゅううと締め上げる。  その刺激もあって絶頂が近いと感じた矢田は、自分の欲を注ぎ込むために、部長の腰を掴み直した。

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