いつの間にかベッドに押し倒されていた長谷は、矢田の身体で大きな動きを封じられていることに気づく。 　若干の圧迫感と脳にまでちゅくちゅくと響く音を立てる深い口づけのせいで、酸欠に近い状態になった長谷はふわふわとした感覚に襲われる。 　唇を離されて、下半身に硬いものを感じた途端に現実に引き戻され、思わずそちらの方を凝視した。 「……随分元気だね」 「バスローブ姿の部長がエロくて興奮してるんで」 　つい強めの言葉をぶつけてしまった自覚はあるが、それを気にせずさらりと言葉を返す矢田にたじろいだ長谷は、バスローブの結び目を解かれたことにすぐ気付けなかった。 「部長も半勃ちじゃないですか。手ェ使わなくても勝手に出てきそうで最高ですね」 「君はどうしてそう……んっ……」 　長谷が言い終わらないうちに、両方の胸の尖りを摘まれて甘い息が漏れる。それを聞き逃さなかった矢田は、くりくりと捏ねたり指先で弾いたりして長谷の反応を楽しんでいた。 「だんだん美味そうな形になってきましたね」 「それは変態くさいと思うなあ……っう！」 「そんな変態に触られて感じてる部長もなかなかですよね」 「うる、さい……」 　膨れ上がって主張しだした乳首を当然のように口に含まれて、もう片方のそれへの愛撫も止めずに上目遣いでこちらを見てくる矢田の、視覚的な淫猥さが凄まじく長谷は思わず目が泳ぐ。 　その様子を面白くなさそうに見ていた矢田が、皮肉混じりな表情で目を細めて尖りきった乳首を甘噛みした。 「っつぅ……！」 「痛いだけじゃないくせに」 　矢田の指摘は単なる煽りだけでなく、実際に長谷の陰茎もどんどんと硬度を増してきており、触ってほしそうにひくついていた。 　それをちらと見た矢田は、まだ口に含んでいない方の乳首を口に含んで、唾液で濡れた尖りを指でくるくると捏ね回す。 　あまり感じたことのない類の刺激に腰が浮き、無意識に部下の身体に自らの熱を擦り付ける長谷を、長谷は熱っぽい瞳で見つめていた。 「そんな腰ヘコヘコさせて、勝手にイかないでくださいよ」 「き、君が……焦らすから……」 「言ったじゃないですか、部長。俺、相手をどろどろにさせるのが趣味なんですって」 「っ……」 「だから、黙って俺に愛でられてください」 　手の甲に口づけられた長谷は、顔に熱が集まるのを感じて思わず顔を伏せた。 　――こんなの、僕の知ってるセフレじゃない。 　喉まで出かかった言葉を飲み込んで、長谷は大きく息を吐いた。