20 / 68

第20話

 ぞくぞくとした刺激に耐えられなくなった長谷がんん、と声を漏らすと矢田は笑みを絶やさぬまま裏筋を何度か舌で往復し、舌先で鈴口から滲んだ液体を掬い上げた。 「部長、見てくださいよ。俺の舌カウパーでぬるぬるになっちゃいました」  べ、と見せつけてくる舌に明らかに唾液とは違う粘度を持った液体が纏わりついているのを見てしまった長谷は思わず目を逸らす。 「ね、目ェ逸らさないでくださいよ。譲さん……」  顎を掴まれて唇が触れ合い、先走りを口の中に塗りたくられる。  気持ち悪いはずの感触なのに、快楽を拾い上げてしまった長谷の肩がぴくぴくと揺れる。  年齢差はあれど、抵抗しようと思えばできるはずなのに彼に対しては何故だか逆らえない。  軽薄なようでじっとりとした感情を向けてくる矢田に心も身体もかき乱され、久方ぶりの情緒の乱れを押し流すように矢田からの刺激を受け入れた。 「……はは、なんか今日、わりかし素直ですね」 「そうかな」 「そうですよ」  愛しそうな手つきで陰茎を撫でられ、そこから玉の裏、窄まりへと矢田の手が滑り落ちていく。  一週間ぶりに触れられるそこを、ぐるりと中指で撫でてから矢田はローションを取り出した。  手のひらで温めてから後孔に垂らし、中指にも塗られたそれを馴染ませるようにくぷくぷと入り口を刺激すると、矢田の指を迎え入れるように第一関節が飲み込まれていった。 「意外と固いですね。今週もしかしてオナってないんですか?」 「い、忙しくて……前でしか……」 「へえ……前だけでイけるんですね、部長」 「ど、どういう意味だい……それは」 「うーん……結構開拓しがいがあるなあって感じですかね」  答えになってないじゃないか、と長谷が言おうとした途端、ずぷりと中指が根元まで押し込まれる。もどかしい刺激に目を細めると、こちらを見上げた矢田と目が合った。 「ね、部長。ここからどうして欲しいですか?」 「どうして欲しいって……君の好きにすればいいじゃないか」  半ば諦めも混ざった口調で長谷が答えると、矢田はわかってないなあという顔でかぶりを振る。 「部長がどうして欲しいか、ちゃあんと叶えるのもセフレな俺の役目ですから」 「セフレね……うん、そうだったね。じゃあ……」 「はい」  長谷がふうと息を吐き、何かを諦めたような笑顔で矢田に語りかける。 「僕が何もかも忘れてしまうくらい、気持ちよくさせてくれるかな」 「仰せのままに、譲さん」

ともだちにシェアしよう!