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第56話
布の擦れる音と同時に露わになったそこを、矢田が優しく手で包み込む。
「っ……!あ……」
昼間の光に晒される自分の姿に、羞恥と興奮が同時に押し寄せて、長谷は目を閉じる。
「……譲さん、太陽の下でこんな顔してるの、俺しか知らないんですね」
囁きながら手のひらで上下に擦ると、長谷は息を乱し、伸ばした手で矢田の髪を掻き抱いた。
二人の影が揺れる。休日の昼下がり、すべての雑音が遠のくかのように、部屋の中には吐息と心音だけが残っていた。
暫く手で擦っていると、長谷の先端から先走りがぷくりと滲み出す。それを舐め取るように舌で触れると、閉じていた目を見開いて長谷の口が小さく開いた。
「け、恵介くん……」
「なんですか?」
「恥ずかしい……から、今日はちょっと……」
「ふうん。じゃあ舐めますね」
「えっ、ちょ……ぅ、あッ……!」
無遠慮に亀頭を全て咥え込んだ矢田は、弾力のあるそこを舌でぷにぷにと押し込む。鈴口からとぷとぷと先走りを垂らしながら、長谷は口を押さえて喘ぎを口の中に封じ込める。
ちゅぷ、と音を立てながら陰茎から口を離した矢田は、不満そうな目で長谷の方を見た。
「声、我慢しないでくださいよ」
「だって……」
「恋人のお願い、聞けないんですか?」
じとりと見つめられた長谷は、目を左右に泳がせたあと、ゆっくりと口から手を離す。
その様子を見てにこりと笑った矢田は、もう一度亀頭を舌でざりりと包み込むと、長谷はシーツを握り腰が跳ねた。
「ん、うっ……」
「ひもひーへふは?」
「や、それ、だめ……!」
「らめ?」
べ、と出した舌を陰茎からわざと離すと、先走りと唾液が混ざり合った粘度の高い液体が二つを繋げる。
その淫猥な様子にこれでもかと顔を赤くした長谷だったが、そこから目を離すことはできなかった。
視線をがっちりと合わせながら、見せつけるように裏筋を舐め上げ、カリ首を尖らせた舌でなぞる。
丁寧すぎる程のフェラチオに、射精感がこみ上げてくるがそれを知っているかのように動きを止める矢田を熱に浮かされた瞳で見つめる長谷の表情は、既にとろけきっていた。
昼の光に溶け込むように、互いの熱を分け合っていると長谷が不意に矢田の頭を撫でた。
「こんな明るいところで何もかも見せるのは……君にだけだよ」
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