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番外編 王様とぼくの年越しのこと・後
「あ、あぅ、……っ」
「まだ少し膨らんだままだからか、ツンと尖った乳首がいやらしいな」
「ん……っ」
まだメランにお乳をあげることがあるぼくの胸は少し膨らんだままだ。お乳をあげている間は吸いやすくするためか乳首もちょっと膨らむ。ポイニーのときもそうだった。そのことは王様も知っているはずなのに、初めて見たみたいに指でクリクリ摘んだり引っ張ったりしている。
キュッと摘まれて鎖骨から首のあたりがぞわっとした。メランが吸うときはなんともないのに、王様にいじられていると思うと胸全体がジンジンするのはどうしてだろう。
「あ、だめ、つまんだら、」
耳の裏側がゾクッとした。止めようとしたのに、ぷっくり膨らんでしまった乳首を王様の指がむにゅっと摘んだ。
「フリ、っ! 出ちゃ、から、だめ……!」
ピュク、ピュッ。
摘んだ指の間からお乳がピュピュッと出てしまった。もうすぐお乳の時期が終わるからか量はそんなに出ない。それでも王様の指はしっかり濡れていた。
フニャフニャになっている腕をなんとか動かして濡れた王様の指を拭こうと寝間着を引っ張った。それなのに指を見た途端に手が止まってしまった。
暖炉の火に照らされているからか、濡れた指がすごく光って見える。それがぼくのアレを擦ったあとの手と重なって顔がボッと熱くなった。寝間着の袖を握っているぼくの手が震える。その下のほうでは寝間着の隙間からアレの先が出ていて艶々に光っていた。その上のほうでぼくの乳首を掴んでいる王様の指がテカテカと光っている。
(は、恥ずかしい!)
あんまりな自分の姿に全身が燃えるように熱くなった。ついさっきまであんなに寒かったのが嘘みたいに顔も手も足まで熱くてたまらない。
「真っ赤になったアカリはおいしそうだ」
ニヤリと笑った王様が濡れた指をペロッと舐めた。「甘いな」とつぶやく王様がエッチすぎて、ぼくの体は寒くないのにブルブルッと震えてしまった。
目の前で暖炉の火がボウボウに燃えている。ぼくから寝間着も下着も剥ぎ取った王様は、「これなら寒くないだろう」と言って軽々と自分の膝に載せてしまった。さすがに恥ずかしくて下りようとしたけど、お腹に手を回されてくにゃっと大きな胸にもたれかかってしまった。
「アカリは四年前からまったく変わっていない」
「んぅ、ふっ、ふぅ、ふ、」
「こうして俺の指に過剰なほど感じてくれる……いつまでも初心というのも悪くない」
「フ、ソス、んぁっ!」
王様の足にぼくの足を引っかけるようにしているから、まるで自分でぱかっと股を開いているように見えてしまう。そんなぼくの股の間の奥で王様の手が動いていた。
「反応は初心だが、こうして指を入れればすぐに柔らかく解ける……中が熱いな。それに随分と柔らかい。それほど解さなくても大丈夫そうだ」
「ぁう、ん……!」
「もしかして湯を使ったときに自分で準備したのか?」
「あふっ! だって、夜……っ、すると、思ったから、あん……!」
「つがいにそこまでされて我慢できる男はいない」
耳元で囁かれて体がゾクンと震えた。あちこちの肌がビリビリして気持ちがいい。トロンとなった目で暖炉の火を見ていたら、グチグチとお尻をいじっていた太い指がヌプッと抜けて「んふ」と恥ずかしい声を出してしまった。
「アカリ、手を俺の足について腰を上げるんだ」
耳元で王様がそんなことを囁いた。頭も体もトロトロになっていたぼくは、言われるまま王様の逞しい足に両手をついて腰を少しだけ持ち上げた。
「あぁ、足は下ろしておこう。そのまま少し待っていろ」
足の裏がフワフワの敷物に当たっている。椅子から立ち上がる前のような格好をしていると、後ろでゴソゴソと布が擦れるような音がし始めた。
「さぁ、そのままゆっくりと腰を下ろそうか。もう少し前かがみになって……そうだ、尻を突き出すようにこちらに向けながら下ろすんだ」
なんだかすごく恥ずかしい格好をしているような気がする。それでも全身がトロトロのぼくは王様に言われるとおりに動くことしかできなかった。
ゆっくり下ろしている途中で王様の手が尻たぶを掴んだ。グイッと開かれると濡れた孔がひやっとする。それでもぼくはお尻を下ろすのをやめなかった。だって、王様がそういうことをするということは入れようとしているってことだからだ。
(はやく、はやくぼくの中に……っ)
我慢できなくて少しだけ急いでお尻を下ろした。尻たぶにヌルッとした熱いものが当たった。何度かヌルヌルと尻たぶに当たったそれがヌルンと孔を擦る。それだけでぼくは「あっ」と言って腰を上げてしまった。
「アカリ」
名前を呼ばれてもう一度お尻を下ろた。また尻たぶに熱くて硬くてヌルッとしたものが当たる。今度は自分で孔に擦りつけるように動いた。気持ちがよくて王様の足を掴んでいる両手がブルブル震える。床を踏ん張っていたはずの足がふにゃっと崩れてしまった。「あっ」と思ったときには孔に当たっていた王様のアレがズブッと一気に入ってしまっていた。
「あ・あ――――……!」
「ぐ……っ」
必死に王様の足を掴んでいた手からも力が抜けた。支えるものがなくなったぼくの体は王様の腰の上に落ちて、大きいアレがさらに奥にずぶぶと入ってしまう。一気に入ってきた衝撃でぼくの体はビン! と固まってしまった。
「これは、たまらんな……あぁ、先に薬を飲んでおかなくてはな」
王様の手が薬の袋を握るのが見えた。赤い紙に包まれているのは、いわゆる避妊薬だ。ぼくは男だけど獅子族である王様のつがいになったから子どもを生むことができる。ぼくの体は発情すると女の人のお腹にある子宮に似た部分が活性化されて、そこに王様の子種が入ると子どもができるんだそうだ。
それを防ぐためには避妊薬を飲まなくてはいけないとカズ先生に言われた。ぼくはいま発情していない。だけど王様の力は相当強いらしくて油断できないらしい。
(本当はエッチなことしなければいいのかもしれないけど)
それは無理だ。大好きな王様がそばにいるのに触らないなて絶対に無理だ。
「さぁ、飲んでおけ」
「んぅ」
「薬を飲まなくては中には出せないぞ?」
「や、だぁ。なか、いっぱい、だして、ほし」
「それなら、さぁ飲むんだ」
口にコップの縁が当たっている。チャイの匂いがするのは、きっと王様を待っている間飲んでいたチャイの残りに薬を混ぜたからだ。
ぼくは王様の全部を受け入れたくて必死にチャイを飲んだ。ジンジャーの味の奥に独特の甘い薬の匂いがする。
「飲んだか? ……よし、全部飲んだな」
「あぅ、ぅ、やだ、ぬいちゃ、や……ぁ!」
「安心しろ、コップを置くだけだ」
「やだ、抜いちゃや、ぁ……」
「ほら、我が儘を言うな」
「ひんっ」
耳をかぷっと囓られてぼくのアレからピュッと液体が噴き出した。噴き出るたびにお腹の中がギュッギュッとして王様のアレをすごく感じる。
「ぐっ、そう、食い締め、るな」
「だ、て、もぅ待てな、」
「わかっている。つがいに強請られているのに俺も我慢する気はない。だが、できれば顔を見ながらがいい」
お腹をいっぱいにしていた硬くて太いものがズルンと抜けた。嫌々と駄々をこねるように頭を振ると、「すぐに入れてやる」と言って王様がキスをしてくれる。ぼくはフニャフニャになった腕で一生懸命王様に抱きついた。そんなぼくをギュッと抱きしめてくれた王様が、いつの間にかぼくに覆い被さっていた。
背中にフカフカの敷物の感触がする。ぼくは王様のかっこいい顔を見ながらゆっくりと両足を持ち上げた。そうして王様の腰を足で抱きしめるように体をくっつける。
「発情していなくてもおまえはかわいいな」
「んふ」
「これからも俺の妃はおまえだけだ」
「ふは、んふ、ふふっ」
顔中にキスをされるのがくすぐったい。笑いながら首を何度か横に振っていたら、お尻にヌルヌルしたものを何度も擦りつけられて「あふ」と声が漏れた。ヌルヌルした硬いものが孔にぴたりとくっつく。それがゆっくりと孔を拡げて中へと入ってきた。
「ふぅ、んんっ、んあ――――!」
ぬぷぅと太いものが中に入ってきた。そのまま奥へと入っていく。途中、すごく気持ちがいいところをグリグリ擦られてぼくのアレからまたピュピュッと出てしまった。そのまま一番奥まで入ったところでトントンとされて体から力が抜けた。
「ひぁ、ぁ、あっ、あんっ、ん、んふ、んぅっ」
「これは一度や二度では収まりそうにないな」
「んふっ、きもち、フリソ、きもち、おく、とんとん、きもちぃ……!」
「手前も奥も、アカリが気持ちいいところは全部気持ちよくしてやろう。そういう年越しがあっても誰も咎めることはできないはずだ」
「ああぁぁ! おく、すご、きもちぃ、すごぃ、よぅ!」
「獅子族のつがいらしく一晩中繋がっているのもいい」
「ひぃっ! きちゃ、おぉきぃのっ! きもち、のっ! きちゃ、うぅ……!」
体が壊れたみたいに全身がブルブル震えた。そんなぼくを王様の大きな体がぎゅうぎゅうに抱きしめてくれる。ぼくは押し潰されそうな怖さを感じながら、それよりも体中が満たされる幸せにもっと震えた。
こうして王様とぼくはいつ年を越したのかわからないくらい、ずっとずっと抱きしめ合って新年を迎えた。
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