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第6話 勇者が魔王を愛した、理由

意識を失ってる魔王の黒い髪を撫でながら、魔王と出会った日を思い出す 足手まといのパーティを引き連れながら、魔王城に行ったとき 玉座に座る赤い目が、けだるそうな赤い目でこちらを見たとき、この目を私だけのものにしたいと思ったんだ……200年生きてきて初めての恋だった エルフになってからの初恋で、私以外のものが、魔王のことを認識するのが許せなかった ーーー あの、時以来の感動をまた感じられるとは思わなかった はるか昔の記憶だが、日本に、生まれた前世の私は体が弱く、高校にもたまにしかいけなかったが、窓のそばで退屈そうに外を見る彼は、 みんなが私に興味を抱いているのに対して何も移さない目をしていた 「あぁ、あの子には近づかないほうがいいよ、貧乏人で愛層が悪くて、あなたとは大違い」と媚びるような声で香水をつけている女で胸を押し付けてくる (汚い体を押し付けるな 汚らわしい……)とさげすんでみている女に 「そう」と言いながら彼を観察をする どうやら聞こえていたようで瞳が揺れている……そんな彼と友人になり、ひいてはもっと先までドロドロにして依存した彼が見たかったのに。 高校一年の秋、僕は、病気で死んだ。 彼と一度も、遊びに行ったり、愛を囁くこともできずに終わってしまった 人生で虚しい。 異世界で、エルフになった私は、何もかもがつまらなくただただ暇つぶしに、鍛錬をし、剣術や魔術も体得したが、乾いた心には何も意味をなさなかった。 そんな日々に飽き飽きしていたところに、彼の目と似ている姿かたちは違うが目が彼とそっくりだった もし、魔王が私と同じ転生者なら、真名を知りたい 可能性はゼロではないが、違っていてももう魔王を離せそうにない だってこれは、恋ではなくもはや愛だからだ だからこそ、ドロドロに甘やかして、私しかいらないと言わせたい 繋ぎとめるためには手段は選びません だって愛し合っているのですから…… 王から、報酬として渡された城は、魔城とエルフの町の県境で危険が去った今でも近づこうとはしない……もぬけの空だった城だ 王が、そんな城でいいのか 侍女をやろうかといわれたが、何にもわかってないな…… 魔王が誰かに見られたら、その侍女を殺してしまうかもしれないでしょ 「魔王を滅ぼした今、民を安心させるためにも、私が住んで守ります」とにこやかに言えば、魔王はたいそう喜んで 「君ほどの男を手放すのは……惜しいな 私の娘と結婚する気は本当にないのか?」という国王に 「エルフと人では時間の流れが違います。大切な姫様と同じ時間を歩めませんから……」と言いづらそうに暗い声を演出するところっと騙される                   *                   *                   * 魔王が私の、昔のマントを着て逃げようとしたのが愛しくて、愛しくて……

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