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真尋×静流

幼馴染みで可愛い弟分だった真尋(まひろ)は気付けば俺の身長なんてあっという間に追い越して、今では自分と25㎝差。 確かに自分は男にしては160㎝と低い方だと思う。 でもそれにしたって真尋(こいつ)でかくなりすぎじゃないか? なんだ185㎝って。平均あればいいだろ。 こっちは平均にも満たないミニマムサイズなのに、なんでこいつが圧倒的平均オーバーなんだよ。 「しーちゃん最近俺に冷たいのなんで?」 でかいくせに犬みたいに目をうるうるさせて言ってくるその姿はまるで小型犬みたいで。 「真尋、近い。でかい、うざい。 同じ部屋にいたら部屋が狭いからでてって。」 「ねえ、しーちゃんってば。」 着ているパーカーを引っ張られて服が伸びる。 力までしっかり強くて、子供の頃に守ってあげてた可愛いまーちゃんはもうどこにもいない。 もう高校生だし、守ってあげるもなにもないんだけど。 「引っ張んなよ、伸びるだろ!」 「だってしーちゃん全然こっち見てくれないじゃん、寂しい。」 寂しいって。男が男に言う台詞じゃないだろ。 小さくても俺はまだ真尋の兄貴分でいていいってことなのか? 仕方なく真尋を見上げて ん、 と両手を広げて見せると嬉しそうに抱きついてくる。 「ふふ、しーちゃんだいすき。こうやってぎゅってするの久しぶりだねぇ」 「ん、そだな…てかお前ほんとでけぇ…」 これは抱きついてきてるわけでも、抱きしめられてるわけでもない。 物理的に丸め込まれてる、が正しい気がする。 「ねぇしーちゃん、今のだいすきの意味わかる?」 言ってる意味が分からなくて真尋を見上げる。 思ったより顔が近い、そう思ったときには唇が重なっていて強引に舌が入ってきた。 「んむ…っ、んん…っ」 力強く抱きしめられたら身動きなんてとれる訳もなくて、そのまま唇も離せないまま。 やっと離れた唇から唾液が糸を引いて、真尋がぺろっと舌なめずりをしたのが見えた。 「なっ、なんなのお前…っ」 「しーちゃんキスはじめて?セックスは?」 「セッ…!?もうお前喋んなっ!うるさい!」 普通のキスすらしたことないのに、なんでファーストキスからディープなんだよ。おかしいだろ。 てか何、真尋の口からセックスって。 普段あんなぽやぽやして、蝶々とか追っかけてそうな面してるくせに。こんな真尋知らない。 「しーちゃん俺とセックスしよ?」 「はぁ!?やだよ!俺もお前も男じゃん!」 んー?と首をかしげる姿は昔と同じで可愛いのに、言ってることが何も可愛くない。 俺のことを軽く持ち上げてベッドへ運んでそのまま押し倒すと、またキスしてくる。 「んっ、は…なんで、なんで俺なの…?」 「なんでって。しーちゃんが好きだからだよ?」 好き?真尋のいう好きって、恋人になりたいってこと? 俺と真尋が?付き合うって、そういうこと? 急に顔が熱っぽくなって真尋が笑う。 「しーちゃん顔真っ赤、可愛い」 「…つ、付き合うとか、経験ないし……  お前可愛いとかいうなよ、俺のが年上なのに…っ」 真尋はずっとにこにことしてるだけで、俺の言うことなんて何も気にしてない。 なんで俺はこんな弟みたいなやつにキスされて、顔真っ赤にしてんだ。 押し倒してきた真尋を睨みつけても真尋にはなんにも通用しなくて、どけって言ってもどかない。 どかすためにはセックスしなきゃいけないってこと? 真尋の服を掴んでなんとか言葉を紡ぐ。 「…まだ、まだセックスはこわいからやだ……  触り合いくらいならしてやるから、一回どいて…?」 自分で言っておいて、まだってなんだよ脳内でつっこみをいれる。 まだなんて言ったら、いつかしてもいいみたいに聞こえるじゃん。 それでも真尋は嬉しそうに笑って俺の上からどいて、俺のことを後ろから抱きかかえた。 「しーちゃんちっこくて可愛い…」 「ちっこいっていうな!ばかにしてんのか!」 「んーん、可愛いんだってば」 真尋の声なんていつも聞いてるのに、まるで違う声みたいで全身が性感帯みたいになる。 耳から首筋まで少しずつキスされて、自分の口から少し前に見たセクシー女優と似たような息が漏れた。 それがたまらなく恥ずかしくて両手で口元を隠すと、真尋の手が着ていたスウェットへ伸びる。 「ねぇしーちゃん、先走りでぬるぬるだけど触ってほしいの?」 ここまできてなんでそんな意地悪なんだよ、と少し振り返って真尋を睨む。 口元は隠したままだからか、頬に軽くキスをしたあとスウェットと下着をずらして上下に動かす。 自分でするのと人が触るのとでは全然違う。 スピードも、力の入れ方も、緩急のつけ方も違って恥ずかしいのに声が出そうになる。 「……っ、ふ…っ、」 「しーちゃん声出して?可愛い声ききたい…」 首を振って拒否してるつもりなのに、いつの間にか口元を押さえてた手は後ろの真尋の服を握っていて口元ががら空き。 「…静流、こっち見て」 「やっ、名前で呼ぶな…っ」 振り返りながら真尋とキスをして、抑えきれない声が口の端から漏れ出ていく。 女みたいな自分の名前が好きじゃない。 それなのになんで真尋が呼ぶのは嫌じゃないんだろう。 真尋とキスしてるからか、気持ちいいからかわからないけど頭が真っ白になる。 目の前がぼんやりとしてきて自分が涙目になってるのが分かって、それと同時にもうイキそうなんだと察した。 「…ぁっ、待って真尋っ、イくから手、離してぇ……っ」 「このまま出していいよ、ちゃんとたくさん出してね?」 言われるがまま真尋の手に出して、真尋とキスをする。 ――いや違うって。 つい盛り上がってキスとかしちゃったけど違う。 「なんでお前呼び捨てしてんだよ!俺のが年上だろ!せめてしーちゃんって呼べ!」 「んぇ、怒るのそこ?ていうかティッシュとってよ、しーちゃんの精液(これ)舐めていいの?」 「舐めれるなら舐めればぁ?男のなんて…嘘だって!舐めんなよ!ごめんって!」 真尋が指についた精液を舐めとったところでティッシュを投げつける。 なんで舐めれんだよ、そんなのきれいでもなんでもないのに。 「俺がしーちゃんの舐めれないと思ったの?ふふ、しーちゃんってほんと馬鹿だよねえ」 手を拭きながら真尋が笑う。こいつこんなにかっこよかったっけ…。 待てこれ、姉ちゃんの漫画で読んだぞ。キスされたら好きになっちゃう的なやつだ。 いやキスだけじゃなかったけど!触り合いっていうか一方的に触られただけだけど! 真尋をちらっと見るとすぐに目が合って心臓が跳ねる。 かっこいいと思ってもどきっとしても俺は絶対、真尋なんか好きにならない!

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