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壮太×佑

明るく染め抜いた髪、耳にあいた二つのピアス、細い眉毛にピアスを開けて、口にも1つ。 周りを警戒して睨む少しだけ吊り上がった瞳。 喧嘩すれば負けなしで、他校にも慕ってる後輩がいるとかなんとか。 そんな噂の主、一ノ瀬 佑(いちのせ たすく)は僕の前に立って読んでいる本を無理やり閉じた。 「なぁ」 「……なに?」 「今日お前ん家行くから。」 返事を待たずに佑は教室から出ていって、そのままどこかへ消えた。 ざわざわと騒ぐ教室。 駆け寄ってくるクラスメイトが口々に心配の言葉をかけてくる。 「大丈夫だよ、幼馴染みだから。でも何かあったら助けてね?」 なんて思ってもない台詞をクラスメイトに投げる。 男子校なんてちょっと顔がいいだけですぐアイドル化して馬鹿ばかり。 僕と佑の通う高校は普通科は佑みたいな馬鹿でも入れる。 それでも特進科があるおかげで馬鹿以外もほんの少数いる。 自分で言うのもなんだけど、顔だけは褒められるし悪くないとは思う。 猫を被るのだって得意で、求められるキャラクターを演じるのには慣れていた。 その分たった一人、佑に対しては猫は被らない。 僕が素を出せる唯一の幼馴染み。 *** 「いっ…痛いって壮太(そうた)…っ、あっ、やだ…っ」 「またピアス増やしたの?ほんと痛いの好きだよね」 佑の眉のピアスをいじりながら、制服のズボン越しに下半身を触る。 その下半身は膨らんでいて、直接触ってほしそうに僕の服を掴む。 「佑から触んないでくれる?馬鹿がうつると困る。」 「っ、ごめ…んぅ…」 佑の胸ぐらをつかんで引き寄せて唇を重ねると、涙を流した。 「はは、ねぇ喧嘩負けなしなんじゃないの?なんで泣いちゃってるの? …ていうかさぁ、教室で“お前”って呼んだあれ、なに?」 「だ、って…っ」 分かってるよ。見栄張りたいんだよね。 それを分かってるからみんなの前では何も言わないであげてるでしょ? 「ごめんなさいは?言えないの?」 耳のピアスに爪を立てて、じわっと血が滲む。 「や、もう、壮太やめてっ、痛い…っ 謝る、謝るからやめてよ、」 「謝るから?謝ってないけど。ねぇ聞いてんの?」 ぐっと壮太の膨らんだ下半身に力をかけると、薄いグレーの制服が濃く滲んでいく。 「あーぁ、お漏らしして子供みたい。 洗濯してあげるから脱いで。…ねぇはやく。自分で脱げないの?」 ぐずぐずと泣きながらズボンと下着を脱いで手渡してくる佑が可愛い。 いじめればいじめるだけ可愛い反応がかえってきて、もっといじめたくなる。 「も、優しくてして、優しい壮太がいい…っ」 「いじめすぎた?ごめんね?」 顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら、両手で涙を拭う姿が可愛くて加虐心を煽る。 なんでこんなに可愛いんだろう。派手な見た目とは裏腹に泣き虫。 そんなことを知ってるのは僕だけで、他の誰も知らない。 実際に佑が喧嘩が強いのは知ってるけど、僕にふっかけてくることはない。 だって佑が僕に勝てないことは、他でもない佑自身がよく知ってるから。 別に喧嘩が強いわけじゃない。でも佑がこんな風に甘えて泣き虫になるのは僕の前でだけ。 僕にしか出せない弱いところ。 佑の髪を撫でながら涙が止まるのを待っていると、まだ涙で潤んだ瞳をこっちへ向けた。 「壮太のことまだ触っちゃだめ…?」 「なーに、僕のどこ触りたいの?」 ここ、とズボンのチャックを下げながら下着越しに何度かキスをする。 佑は下着越しでも関係なく舐めてきてまるで犬みたい。 制服と下着を脱ぐとすぐに舐めてきて、僕のを舐めながら佑が自分のを触る。 いやらしい音をたてながら僕のも佑のも準備ができて、佑が僕のにコンドームをかぶせると上にまたがって一気に奥まで挿れた。 「あ…っ、あ…、壮太ぁ…っ」 ぎゅっと抱きしめてくる佑が可愛くて動くと、首に手をまわして抱きついてくる。 学校ではあんなにツンとした一匹狼を気取ってるくせに、実際はこんなにもセックスが好きで痛くしないと感じられない変態。 「佑、一回抜いて、後ろ向いて」 挿れる前に一度佑のお尻を叩くと佑が身体を跳ねさせる。 「まだ挿れてもないのにそんな反応するの?」 「意地悪しないで、早くほしいんだって…っ」 先走りで濡れた佑のものを触ると、もどかしそうに腰を揺らした。 腰を掴んでゆっくりと挿れると佑が身体を動かす。 「ゆっくりじゃやだ…あっ痛…ッ」 動かす前にお尻を叩くときゅっと入り口が締まる。 いい加減僕も下半身が痛くて、じわじわと動くと佑が息を少しずつ荒くしていく。 「痛いの気持ちいいの?」 そう聞くと佑が枕に顔を埋めながら頷いて、すこし僕を振り返って覗く。 「気持ちぃけど…っ、壮太の顔見てしたいっ…」 そんな可愛いこと言われたら後ろ向かせてセックスしてる場合じゃない。 意地悪や痛いことはするけど、僕は佑のことが好きなんだから。 佑は絶対好きとは言わないけど、なんとなく同じ気持ちなんじゃないかと思っている。 佑の腰を持ち上げて、浮かせた状態で挿れると佑が顔を赤くして目を逸らす。 「他のとこみちゃだめ、僕のこと見てて?  僕も佑のことみてるから、ね?」 「はっ、ん…んぅ、壮太っ、気持ちい…っ、」 涙目で気持ちよさそうな声をあげる佑がたまらなく愛おしい。 なんでこんなにも愛おしいと思うのにいじめたくなるのかはわからない。 息が荒くイきそうな佑の手を握って、コンドーム越しに佑の中へ出した。 後日、佑が携帯の画面を見せてくる。 「お前の加虐嗜好ってただのSかと思ってたけどこれじゃね  キュートアグレッションってやつ、俺のこと可愛いって思ってるっしょ」 「可愛いとは思ってるけど僕は単純に佑がいじめたいだけだから違くない?  もしこのキュートアグレッションだとしても僕なおす気ないよ。」 そういうと佑はなんでもないように笑って言った。 「いいよ別に。これからもずっと、おっさんになってもお前の付き合ってやるよ  だからずっと側にいて俺だけいじめ続けてろよ」 強い言い方のくせに求めてるのはいじめられることでつい笑ってしまう。 佑は本当に可愛い。 愛おしさで噛みつきたい衝動をなんとか抑えながら佑に初めて優しいキスをした。

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