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椎名×怜央
幼馴染みの椎名 が好き。
でも椎名には中学からずっと付き合ってる彼女がいて、俺とは絶対に付き合ってくれない。
そんなことは分かってる。それでも好きで好きで仕方ない。
「…っ、は…、しぃな…っ」
椎名のことを考えるといつもこんな風に抱かれる想像をして自分を慰めて、そのあとはむなしくなる。
ティッシュに出した精液をぼんやりと眺めてため息をつくと部屋のドアが開く。
「わぉ、お取込み中すまんなぁ。ちょっとええかー?」
「は、はぁ!?ええわけないやろ!なんでお前ここおんねん!」
「おばちゃんに聞いたら上おるって言うたし、勝手に入んのなんていつもん事やん。」
突然現れた椎名は下半身を出しっぱなしの俺に構うことなく横に座る。
あまりに突然のこと過ぎて布団で隠すことしかできなかった俺をみて、下に脱ぎ捨ててあったトランクスとズボンを手渡してきて笑った。
「それ履いて手洗ってき、話したい事あんねん。」
「お、おぅ。ちょお待っとって。」
洗面所で顔と手を洗って部屋へ戻ると椎名がベッドへ横になって待っていて、少し前に想像したことを思い出して勝手に気まずくなる。
名前を呼んでイッたことを気付かれてないことを祈るしかない。
「なぁ俺、彼女に振られてんやんかぁ。理由なんやと思う?」
「俺と一緒にいすぎなんちゃう?
椎名がよおけ怜央 ~ってくるから妬いたんやろぉ。」
冗談めかして椎名を見ると起き上がって真剣な顔でこっちを見つめてきて身体が強張る。
「お前と一緒おりすぎたんかなぁ。
そんなに怜央くん好きなんやったら怜央くんと付き合うたら?って言われてもぉてん。
俺ほんまにお前のこと好きなんかな?彼女に振られてもそんなショックやないもん。」
「…ほんならさ、俺とキスできるか想像してみ?」
試してみる?とはこわくて聞けない。
逃げるように想像するよう促すと椎名がぐっと押し倒してきた。
ぽふ、とベッドへ倒れこむと椎名の唇が俺の唇へ触れる。
「想像やと分からへんやん?てか普通にできんねんけど。やばぁ。」
「――…あ、あほちゃう…っ、ほんまにせんとってや…ファーストキスやのに…」
自分で自分の顔が赤いのが分かって余計に赤くなっている気がして、顔を服で隠した。
「おいなんなんその反応、可愛すぎやろ。…なぁ怜央こっち見てや」
「嫌やって、顔赤いねんもん…。
こんなんなっとったら言わんでも俺の気持ち分かるやろ。
好きって言うたら椎名が困るだけやから言わへんかったのに…。
もう嫌や、俺が見てへんうちに帰って……」
顔を隠したままそう言うとベッドが軋んで、重さが消える。
足音が遠ざかったあとドアが開いて閉まる音が聞こえた。
「あー…、もー…友達のままで良かったのに…っ、何してん俺ぇ……」
「友達のままでええのん?」
「はぁ!?帰ったんちゃうんか、なんでおんねん!」
ドアの前に立つ椎名を見て驚いているとニヤつきながら「帰ったふりー」と嬉しそうに近づいてきて、顔を隠した手を握られる。
「怜央って俺のこと好きなんやぁ?さっき俺のこと想ってオナってたん?
やから椎名って名前呼んでイッたん?お前やらしいなぁ」
「なっ、ほんま嫌や…意地悪せんといて、きしょいならそう言うてやぁ」
「そんなんだぁれも言うてへんやん。
なーぁ、いつになったら手ぇどけんの?」
繋いできた手を何回もキスしてきて力が緩む。
こんなの身が持たない。
緩んだ手から目が合って椎名が笑う。
「やっと見た、ちょぉやってみたいことあんねんけど」
「やってみたいって何?もうキスはしてもぉたやん…それ以上は無理やろ」
「まぁまぁええから。お前がどんだけ俺のこと好きかも知りたいし?」
そう言ったあと椎名は子供みたいににやりと笑った。
***
「やーばぁ。俺の手で興奮してこんな勃たせてんのん?
さっきイッたばっかちゃうんけ、なぁ」
「そんなん、好きな人に触られて勃たへんわけないやん…っ」
俺のを扱きながら椎名が笑う。
向き合ってされてるせいで椎名の髪が揺れるたびにドキドキして心臓がうるさい。
「待って椎名…っ、それ以上触ったらあかん、あかんって…!」
椎名の手に自分のがかかったのを見てティッシュを手渡すと、椎名は楽しそうに笑ってこっちを見た。
「ほんまに俺のことすきなんやぁ…ほんならさぁ、こんなんされたらもっと嬉しい?」
そう言って手についた精液をぺろっと舐めて色気のある顔で見る。
「まっずぅ。あはは、なぁ嬉しいー?」
「うれしい、けど……そんなんされたらもっと好きになるやんかぁ…」
「なったらええやん?付き合うたらええと思うんやけどなんかあかんことある?」
ティッシュで手を拭きながらなんも気にせんような素振りで俺を見て、顔を寄せてそのままキスをした。
苦いしまずい、変な味がする。
そんでも強引に入ってくる舌を受けいれて、椎名と手を絡める。
「…っ、ん…、んぅ…っ、息できへんってぇ…」
「反応童貞すぎるやろ」
「うっさいな!昔からお前のこと好きやったんやからしゃーないやん!
他のやつ好きになれへんし、そもそも女に興味ないんやもん」
「うはは!ほんなら付き合お、な?」
繋いだ手に軽くキスをして上目遣いをしてくる椎名に頷くことが精一杯で、まともに返事ができないまま付き合うことになった。
「まぁでも俺と付きおーても童貞卒業はでけへんけどなー」
「……別そんでえぇし、そもそも椎名に突っ込む気ぃないし。」
「あらら?怜央くん俺に抱かれたいってことぉ?
やーらし、そらまた今度のお楽しみやなぁ。ほんなら帰るわー。
あ。俺なぁ、束縛激しいで、覚悟しといてなー」
ほな、とベッドから立って俺の両頬を掴んでまた舌を入れるキスをしたあと、軽いキスをしてスタスタと部屋を出て行く。
触れた唇をなぞってベッドへ横になっているとまたドアが開いて「れーお、愛してんで♡」とだけ言ってバタバタと階段を降りていった。
「ほんま嵐みたいな男やな…」
無意識にあがる口角を両手で隠して溜息に似た息を吐く。
枕に顔をあてて声にならない叫びを叫んだあと、付き合えたことが嬉しくて足をバタバタと動かして母親から「怜央うるっさい!」と言われるまで冷静になれなかった。
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