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冬弥×冬真

冬生まれだからって安直な“冬”のつく名前。 一目で双子だとわかるこの名前が昔から嫌いだった。 高校でやっと弟の冬真(とうま)と別れてせいせいしていたのに、毎日迎えに来る。 自分と見た目も変わらない弟との唯一の違いは口元のほくろだけ。 そのせいで同級生からすぐに双子なのだとバレた。 別に隠していた訳じゃなくても、なんとなく嫌な気分になる。 「毎日来なくていいんだけど。」 「でも心配だし…。冬弥(とうや)は俺が来たら迷惑?」 「…別に迷惑とか言ってねぇじゃん。」 そっかぁ、と緩んだ笑顔を向けてきて尚更むかつく。 同じ顔をしてるのに性格は真反対。 素直になれない俺と思ったことを素直に口に出す冬真。 俺は外で遊ぶのが好きで怪我が耐えない子供で、冬真は家で本を読んだり静かに遊ぶのが好きだった。 頭の良かった冬真は親の望んだ通りの高校へ行き、俺は誰からも望まれない最底辺の高校へ入学した。 別に他の高校へ行けなかったわけじゃない。 ただなんとなく期待された冬真とは別のところへ行きたかった。 *** 家へ入る前に冬真の腕を掴む。 「んぇ、なぁに?」 「準備したら俺の部屋。」 言葉の意味を察した冬真が一瞬身体をこわばらせて、すぐに頷く。 はじまりは中学2年の春だった。 反抗期真っ只中の俺と反抗期なんてない冬真は親からの期待値も全く違っていて、親は冬真ばかり気にかけていたと思う。 そりゃ何か言えば反抗的な態度の俺は可愛くなかったと今ならわかる。 それでもその当時は冬真ばかりを気にかける親が許せなくて、ならその対象の冬真を俺が壊してやればいいと思った。 ただ冬真は壊れるどころか順応してきて、そこからずるずると今の関係が続いている。 コンコンとノックの音が聞こえて、遠慮がちにドアが開く。 「ベッド来て。」 「うん…、」 ぎし、と子どもの頃から使ってる古いベッドが軋む。 冬真の口元の小さなホクロを撫でてキスをすると、求めるように舌が絡んでくる。 「ほんとえろくなったよなぁ」 「ちが「違わないだろ。」 言葉を遮って服の中へ手を入れるだけで腰が浮いて、手が肩に回る。 期待して何度もキスをしてくるくせに。 「冬弥っ、もっと…っ」 「もっと、なに?」 「触って、冬弥からもキスして」 噛み付くように無理にしても冬真は受け入れて、俺のする事に反応する。 なんで、なんて絶対に言わない。 「ぅ、んん…、」 冬真のスウェットをずらして先走りをローションがわりに慣らしていくと腰が揺れる。 いやらしい動きに自分の熱まで上がりそうで静かに深呼吸をした。 俺とは反対に声を我慢して短い呼吸で息をする冬真の口をあいたもう片方の手で押さえると、手を重ねて首を振る。 「なに。言いてぇことあんならちゃんと言って」 「冬弥のいれて…?一緒に気持ちよくなろ?」 「お前ほんと……まぁいいや。ケツこっち向けて。後ろからされんのが好きなんだろ。」 言われた通り後ろを向く冬真の中にゆっくりと入ると冬真は はぁ と長い息を漏らした。 ゆるい動きのまま続けていると冬真が無理やり抜いて前を向く。 「そんなんじゃ足りない…っ」 「はっ、じゃあ自分で動けば?」 上に跨ってゆっくり腰を下ろす冬真に少し意地悪がしたくて、腰をつかんで下から突くともたれかかってくる。 そんな冬真が可愛く見えて余計にいじめたくなる。 「なぁほら自分で動くんじゃねぇの」 「まっ、て、むり、むりだって…っ やだ、やっ、待っ、まって、(そこ)ばっかしないで…っ」 「なんで?イキそ?」 首を縦に振る冬真を無視して構わず突くと思い切り抱きしめてきて冬真がイく。 荒い息の冬真を抱き起こして押し倒すと一瞬呻いて、突き始めるとまた声が甘くなる。 「冬真声でかい、静かにしてて」 冬真の口に指を入れると甘噛みしながら喘ぐ。 唾液が絡まる指が糸を引いてちりっと痛む。 「顔えろ…は、イキそ…」 「は、あぅ…んん…っ、中、出して…っ」 言われなくても、と動きを早めると噛まれた指に血が滲んだ。 唾液と血で指が光る。 熱を吐き出して冬真を見ると少し笑んでいて、ズキっと心が痛んだ。 表向きは俺の反抗心に付き合い続ける冬真。 本当はもう反抗心なんてなくて、ただ俺が冬真を抱きたいだけなのを気づかれているんだろうか。 男同士なのに、血が繋がっているのに、兄弟なのに。 恋人にもなれない。 行く末のない哀れな俺の恋は永遠に叶うことがない。 そんな想いを隠すためにぶっきらぼうに振る舞うしかできない。 優しくできない俺に冬真が優しくキスをして笑った。

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