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第6話 ~俺たちでの証を入れたかったんだ~

コーヒーの香りが鼻をくすぐる。隣にいない蓮の体を無意識に探す俺は、あいつと離れない証が欲しいと手を伸ばす。俺たちだけの証が…… 「風見かざみさん、コーヒー淹れましたよ。そんなに名残惜しそうな顔をしなくても、一生俺は風見さんといますから」と差し出してくる。 「朝から、やかましいな」と言い受け取る。 (俺のアルファは、本当にカッコいい)と顔が緩みそうになるのをすぐに、顔を戻すと、 「蓮れん、行きたいところがある。車を出せ」 「分かりました。でも今日何も予定がなかったですよね。もしかしてデートすっか」としっぽが見える 「まぁ、そんものかな、秘密だ」 まだ、嬉しそうにしっぽを振る姿を見ならがら、コーヒーに口を付ける                          *                        *                        * 「どこ行きますか?風見さん!」と言いながらハンドルを持つ蓮に、 「あぁ、墨を入れにいくんだよ」と答えると 「何だデートじゃない……」と少し落ち込んだ顔をする蓮に耳打ちをすると 打って変わったように、明るくやる気を出して運転する 「久しぶりだな、龍の墨の隣に、新しい墨を入れてほしいんだ」というと驚きながら出てくる彫師に、言うその後ろには、大型犬のようにしっぽを振る男がいる 「組長さんと若頭どうなさったんです? えぇ、分かりました。ではこちらに」といいながら、奥に進む 「蓮の花を入れてほしいんですか?  承知いたしました」と道具を用意しだす彫師に、 「おいバカ、お前はここにいろ、このバカと同じ蓮の花を二本、頼む」 何かを感じ取ったかのような彫師に、 「余計なことは考えるな、仕事しろ」 「はい……」 「っつ……イっ」とじりじりと刺さる音が響く、皮膚を掘る音で耳をふさぎたくなりながら、手を蓮に伸ばすと嬉しそうに握ってくる 痛みに耐えながらも、蓮と同じ蓮の花を入れている事実だけで、胸がいっぱいになった 痛みに弱い俺は、墨を入れるときは心細いのを出さないように、奥歯をかみしめてて、ひびが入ったこともある でも蓮といると、不思議と甘い痛みに変わっていく気さえする。蓮と約束した、ご褒美が待っているからだ。蓮の手の温かみがおれを変える 俺は、いつのまにかバカがいないと何もできなくなってしまうかもしれない。それも悪くないなと思うくらい絆さられているらしい                        *                        *                        * *蓮視点* 車の中で落ち込む俺に、耳元でささやく 「お前と同じ墨を入れると……俺たちだけの証が欲しいんだ」という組長を抱きたくてしかったなくなったけど我慢して、アクセルを踏む そんなかわいいことを言ってくれるようにまでなった組長に感動していると、手を差し出してくる こんなかわいい組長を、俺いがいが知っているなんて許せないと彫師を無意識に睨みつけていたようだ 風見さんは俺だけのものなのに、彫師じゃなかったら、肌に触れるだけで指を切り落としているところだ かわいい風見さんを堪能しようと手を握る 「大丈夫、俺がいますから」 「おいバカ、いいから静かにいろ」と怒られてしまった。かわいいな~ 組長がトイレにいっている間に、彫師にくぎを刺す 「他言無用ですよ。言ったらどうなるかわかりますよね……」というといきおいよく首を縦に振る男を見て、満足する 「おかえりなさい組長、どこにいきますか?」 「ご褒美くれるて……」っと俺にしか聞こえない声で言う 「はい」というと店をでる ご褒美……それは俺がいつもなら、嫌がってなかなかしないことだ。 でも、あんなかわいい顔で言われたら断れないよな……。

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