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王宮内で、エディンは最も見たくない光景を目にした。
先に侵入したクーデター軍の一部が、我が物顔で暴虐を働いていたのだ。
折り重なる遺体の上に、自慢げに腰掛ける兵士。
抵抗を諦めて投降する者を、無慈悲に槍で突く兵士。
奪った金品を自慢し合う、兵士。
血の臭いの中で繰り広げられる、凄惨な現場だった。
力を持たない者たちを踏みにじる行為は、エディンの嫌うところだ。
誰にも聞こえない舌打ちをし、彼は大声を上げた。
「動くな! そして、これを見ろ!」
その声には、敵兵だけでなく、王宮の人間たちも驚いた。
反射的にエディンの方を見て、さらに驚いた。
「動けば、こいつに火を点ける」
彼の手には、戦場で拾った火薬壺があったのだ。
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