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「馬鹿な! お、お前も粉々に吹き飛ぶんだぞ!?」  うろたえる敵兵たちの言葉にも、エディンは動じない。  逆にニヤリと笑うと、手のひらでポンと火薬壺を叩いた。 「そうだ。だが、お前らも道連れだ。残念だったな、もう故郷へは帰れない」  兵たちは、青ざめた。  散々人を手に掛けておきながら、自分だけは家族の元へ帰りたいと願ったのだ。 「解った、動かない。何もしない。だ、だから、命だけは……!」  そこへ、エディンの軍が追いついて来た。 「竜王閣下。こ奴らは、いかがしましょうか?」 「略奪品を全て取り上げ、一か所に集めろ。こっそりポケットに入れるなよ」 「そのようなことは、いたしませんよ」 「あとは、全員逃げられないように、枷を掛けろ」  素早く動く兵たちに処理を任せ、エディンは先へ進んだ。  敵将は、ここにはいない。  さらに奥へと、走った。  その先には、アルネがいる。  運命が待つとも知らずに、ひた走った。

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