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   その奥に、アルネは確かに存在した。  母や、側近たちと共に。  だが、そこには忌まわしい者まで、数名。 「もはや、逃げられんぞ。この国賊どもめ!」  クーデター軍の将軍とその配下が、エディンより先にアルネの元へ追いついていたのだ。 「国賊は、お前たちの方だ! 国王陛下への恩義を、忘れたか!」 「ほう。ずいぶんと威勢のいいことだ」  にやりと笑い、将軍は黙った。  一秒、二秒、三秒と、彼はしゃべらず、ただニヤニヤと笑う。  抜け道は、人一人がようやく通れるほどに狭いが、ここは天井が高くなっている。  いわゆる、隠れ部屋だ。  潜んで脱出のタイミングをうかがうための小部屋が、抜け道には数か所設けてあった。  その中の一つで、アルネたちは将軍らに追いつかれたのだ。

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