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第六章 戦いは終わったが

 テミスアーリンの国軍はクーデター軍に勝利し、これを完全に制圧した。  その報告を、エディンは母国・ネイトステフへ急ぎ送った。  伝書バトと、早駆けの伝令、二つを使うという念の入れようだ。  さらに周辺諸国へスパイを潜入させ、戦勝の噂を流させた。 『テミスアーリンは、王国軍が勝利したよ』 『クーデターは、失敗だったんだ』 『ネイトステフの援軍が、効いんだって』  こんな会話が瞬く間に、民衆に広まった。 「でも、どうしてそこまでお急ぎになったのですか?」 「他国でクーデターや革命が起きないように、な」  まだ荒れてはいるが、テミスアーリンの宮殿内で、アルネとエディンは共に食事を摂っていた。  豪勢な祝賀のテーブルは、もう少し先までお預けだ。  今は、できるだけかき集めた食材で、質素な料理を食べていた。

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